【展覧会レポート】「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」がCREATIVE MUSEUM TOKYOでスタート!

2022年4月に東京・世田谷文学館で開幕し、その後日本全国を巡回した絵本作家・ヨシタケシンスケさんの展覧会「ヨシタケシンスケ展かもしれない」。その大人気展覧会に新しい大型体験展示や展覧会オリジナルグッズなどを“たっぷり増量”した、「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」が、東京・京橋のCREATIVE MUSEUM TOKYO20253月20日(木)からスタートした。

ヨシタケさんは2013年に絵本作家デビュー。ベストセラーとなった絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)をはじめ、数々の著作を出版し、子どもから大人まで幅広い支持を獲得してきた。本展は一冊の本が出来上がるまでの間に、ヨシタケさんが何を考えているのか、頭の中を覗き込むメイキングのような展覧会となっている。

これまでの展覧会でも圧倒的な迫力を見せた、ヨシタケさんが絵本作家になる前から日々書き溜めてきたスケッチは、約2500枚から7500枚にたっぷり増量。その一つひとつは、ヨシタケさんが怒られた時に気を紛らわせる為に描いたり、やらなきゃいけないことがある時にわざわざ描いたり、といったものたちだという。そういったものが絵本のアイデアになることもあり、ヨシタケさんにとっては欠かせない習慣で、いつもポシェットにメモ帳を入れて持ち歩いているんだとか。

すべてヨシタケさんが描き溜めた7500枚以上のスケッチ。©Shinsuke Yoshitake
いつでも思いついたことを描き出せるように、ポシェットに手帳を入れて持ち歩いているヨシタケさん。
©Shinsuke Yoshitake

会場を進むと、これまでにも展示されてきたアイデアスケッチや、映像、立体、ヨシタケさんのアイデアの源となるコレクション、そしてこれまでも人気だった「てんごくのふかふかみち」や「じごくのトゲトゲイス」などの体験型作品が、広々とした空間のあちこちに展示されている。さらに、「あなただけのおまじないづくりコンピューター」といった新たな体験型展示も追加され、まるでテーマパークやゲームセンターのようにどこから見よう! どれからやろう! とわくわくすること間違いなし。作品のほかにも、ヨシタケさんがその日に描いた付箋があちこちに貼られている。付箋は会期中に増えていくかもしれない。

会場風景 ©Shinsuke Yoshitake
体験型作品「じごくのトゲトゲイス」。勇気のある人は座ってみよう。  ©Shinsuke Yoshitake
体験型作品「うるさいおとなをりんごでだまらせよう」。りんごを口の中に入れると……? ©Shinsuke Yoshitake
新作の体験型作品「あなただけのおまじないづくりコンピューター」
©Shinsuke Yoshitake
今回も会場の至る所にヨシタケさんの愛蔵品が展示されている。
©Shinsuke Yoshitake

わくわくはまだ終わらない。足を進めると、この会場限定となる大きな森が登場。つり輪につかまり足をぶらぶらさせて、『あつかったら ぬげばいい』(白泉社)の「おとなでいるのにつかれたら あしのうらをじめんからはなせばいい」という一節を体験できる。ここでは、普段はピシッとしている大人も、子どもに戻ったみたいに好きに足をぶらぶらさせていい。

また、森の中にはカラフルな紙とシュレッダーが用意されている。好きな色の紙に言葉や絵を描いて、誰にも見せずにシュレッダーにかけ、自分だけの秘密を作ることができる。吐き出したいことや、とっておきのアイデア、ちょっとしたことでも、自由に描いてみよう。

会場風景 ©Shinsuke Yoshitake
会場風景 ©Shinsuke Yoshitake

森を抜けると、そこには絵本原画のコーナーが。巡回展開始以降に刊行された『メメンとモリ』(KADOKAWA)や『ぼくはいったい どこにいるんだ』(ブロンズ新社)など4冊の絵本の中から、厳選したアイデアスケッチや原画などが追加され、絵本の原画は総数約170枚に。丁寧な線や、夢が詰まった設計図のような、飽きない構図に魅了され、ついじっくりと見てしまう。本会場初登場の『おしごとそうだんセンター』(集英社)の「長い棚書店」をイメージしたベンチに乗ってゆっくり絵本を読むこともできる。

「長い棚書店」をイメージしたベンチ ©Shinsuke Yoshitake
絵本原画 ©Shinsuke Yoshitake

楽しみは会場を出てもまだ終わりじゃない。展覧会オリジナルグッズもたっぷり増量され、なんと150点に。「帰りの電車を途中から座られてくれる」くらいの、小さな願い事だけを叶えてくれる「ちいさな神さま」のソフビや、SNSでも話題になった「およそ120mlグラス」の増量バージョンおよそ200mlの「増量グラス」も登場。日常生活に遊び心をプラスしてくれるときめくお気に入りのアイテムをぜひ探してみてほしい。

展覧会オリジナルグッズ ©Shinsuke Yoshitake

また期間内、会場横にはファミリーレストランをテーマにした「ヨシタケ飲食店かもしれない」が登場。かわいくて遊び心のあるメニューや、蛇口を捻るとジュースが出てくるドリンクバーも。色々混ぜてみても美味しいかもしれない。カフェ内にもヨシタケさん描き下ろしのイラストレーションがたくさんあるので、ぜひ見渡してほしい。

「いつか明太子クリームパスタになりたいパスタ」 ©Shinsuke Yoshitake
「ヨシタケ飲食店かもしれない」ドリンクバー。 イラストレーションは、このための描き下ろし。
©Shinsuke Yoshitake

これまでの展示からさらにパワーアップした本展は、大人が子どもに戻りたい気持ちや、普段大人に指示されたり叱られたりする子どもの素直な気持ちもまとめて肯定してくれているかのようだ。ここでは、大人も子どもも、ありのままの自分になって、ヨシタケさんの頭の中に広がる世界を楽しめる。この展覧会を訪れれば、人生がちょっと愉快になるような素敵なヒントを知ることができるかもしれない。

 


「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」

会場:CREATIVE MUSEUM TOKYO

〒104-0031 東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 6階

会期:2025年3月20日(木・祝)~2025年6月3日(火)*会期中無休

*3月20日(木・祝)~23日(日)、5月3日(土・祝)~6日(火・祝)、5月31日(土)、6月1日(日)は 日時指定制

開館時間:10:00〜18:00

*毎週土・日曜および祝休日は9時から、毎週金・土曜および5月4日(日・祝)・5日(月・祝)は 20時まで開館 ※最終入場は閉館の30分前まで

入場料:一般2,000円、高校・大学生・専門生1,500円、中・小学生1000円、未就学児無料

*各種障がい者手帳をお持ちの方は当日料金の半額、その付き添いの方(1名まで)は無料。

TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

公式Webサイト:https://yoshitake-ten.exhibit.jp/tokyo

公式Webサイトカフェページ:https://yoshitake-ten.exhibit.jp/tokyo/#cafe


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