和田誠さん翻訳の詩集に120組の歌声を乗せた名盤「オフ・オフ・マザー・グース」が約20年ぶりに復活!

『週刊文春』(文藝春秋)の表紙などを通じ、親しまれてきた和田誠さん。その仕事はイラストレーション、デザインにとどまらず、映画監督、翻訳、作詞やエッセイまで多岐にわたる。

10月15日(金)、和田さんの名訳が光るCDアルバム「オフ・オフ・マザー・グース」(ディスククラシカジャパン)が、20年の時を経て復刻発売された。

詩集『オフ・オフ・マザー・グース』1989年/筑摩書房)は、欧米のわらべうた60篇の韻をそっくり日本語に移し替えた、和田さんの言葉遊びのセンスが輝く1冊だ。1995年、その詩集にCM作曲家の櫻井順さんが曲を付け、CD「オフ・オフ・マザー・グース」は誕生した。参加アーティストは平野レミさん、井上陽水さん、黒柳徹子さんなどさまざまなジャンルから集まった60組。多彩な顔ぶれが歌い上げた全60曲のソングブックは、発売後、大きな話題を呼んだ。

さらに、続編の詩集『またまた・マザーグース』(1995年/筑摩書房)の発売に伴い、1997年にはCD「またまた・マザーグース」も誕生。西田敏行さんや桃井かおりさん、児童合唱団など、第2弾にも各方面から新たな60組が参加した。

120曲を120組が歌う異色の作品には、長年再販を望む声が多く上がっていたが、その調整は難航が続いていたという。しかし今年、2枚組CDアルバム「オフ・オフ・マザー・グース」としてようやく復活を遂げた。20余年を経て蘇った、2枚の名盤。才能あふれる和田さんの言葉遊びを、120組の個性豊かな歌声と共に楽しんで欲しい。

 

▼曲目・演奏者一覧はこちらから

http://www.disc-classica.jp/wada_mother_goose/wada_mother_goose.html

 

<プロフィール>

わだまこと/1936年生まれ。多摩美術大学を卒業し、広告制作会社「ライト・パブリシティ」に入社、「ハイライト」(タバコ)パッケージ、キヤノン、東レなどのデザインを手がける。68年退社後はフリーとして、1,000冊を超える本の装丁・挿画(うち自著は200冊)や、『週刊文春』表紙を手がける。映画監督や翻訳・作詞・エッセイなどでも活躍。 2019年10月逝去。横浜・外人墓地にある平野威馬雄さん(平野レミさんのご夫君)の墓所に眠る。

さくらいじゅん/1934年生まれ。慶應義塾大学を卒業し大手商社に入社するも、趣味だった音楽への思い断ちがたく、夜は三木鶏郎主宰の「冗談工房」に音楽スタッフとして通う。折しも民放テレビの黎明期でもあり、広告音楽の第一線で活躍。1964年、大森昭男と個人事務所「ブレーンJACK」設立。資生堂、サントリー、西武、富士フィルム(お正月を写そう)など、今日まで使われる名作も多い。 本アルバムの再発を目前の2021年9月、逝去。

 


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『イラストレーション』 No.226(玄光社)

和田誠さんを70ページにわたって特集。『週刊文春』の表紙をはじめとした代表的な仕事の紹介はもちろん、親交のあった方々からの寄稿、オマージュイラストなど盛りだくさんの内容です。

 

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2000年に刊行された和田誠さんの作品集『時間旅行』をベースに、装丁カテゴリーや制作風景を加え、さらにこの後の20年弱の代表的な仕事を盛り込んだ増補改訂版です。4歳から82歳までの和田誠が見られる、ほかに類を見ないオールタイムベストとも言える1冊。

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