東京・立川のPLAY! MUSEUMで「ONI展」が1月21日(土)からスタートした。会期は4月2日(日)まで。
2022年10月21日に公開されたNetflixオリジナル作品「ONI ~ 神々山のおなり」は、ピクサー出身の堤大介さんとロバート・コンドウさん率いるアメリカのアニメーションスタジオ「トンコハウス」が制作。監督を堤さんが務めた、全4話(計154分)からなる初の長編3DCGアニメーションで、古くから日本で描かれてきた「鬼」を題材に、森に暮らすユーモラスな妖怪や神々たちが誰の心にも潜む恐れと向き合いながら成長するストーリーだ。
本展は、PLAY! MUSEUM初のアニメーションの展覧会で、ゆるやかにストーリーを追いかけながら「ONI」の世界観を新しい映像体験として味わえるものになっている。
展示室に入るとまず目に飛び込むのは、壁いっぱいの大きなスクリーンと、和紙のスクリーン、そして空間を優しく照らす提灯だ。ここでは、物語の前半の“光”をテーマとしている。大きなスクリーンにはストーリーを、和紙のスクリーンには、こだわり抜いて制作されたアニメーション内の美しい情景を映し出しており、どこかしこから流れる風の音や水の音に混じりキャラクターの声が聞こえ、神々森の中にいるかのような演出だ。
少し進むと鬼のお面がずらりと並ぶ壁が見える。お面は恐ろしい顔をしているものもあれば、どこか可愛らしさを感じるものなど、1つひとつが異なる表情を持つ。これらのお面とさらに進むと見られる凧は、国内有数の民俗資料コレクションを所蔵する武蔵野美術大学美術館・図書館 民俗資料室協力の下、本物を展示している。そのほかにも、和紙や提灯はすべて職人の手によるもので、映像の中でも注力された手作り感を感じて欲しいという思いが込められている。
足を進めると、徐々にストーリーの“闇”の部分に突入する。ストーリーの重要な場所となる戻り橋をとおり、いよいよクライマックスへ。
そこには、鬼が襲いにくる日とされる“鬼月“に、妖怪や神々が森を守るべく集結した櫓があり、恐れに取りこまれた「なりどん」への呼びかけをキャラクターと一緒になって体験出来る。会場オリジナルのアイテムとして太鼓が置かれており、叩くと何かが起こるかも……?
「ONI」の映像体験を存分に楽しんだ次に続くのは、「ONI」が出来るまでのメイキングを見ることが出来るコーナー。企画の始まり、 当初のパイロット版のセットから、キャラクターコンセプトなど、完成するまでのプロセスに一貫するトンコハウスのアートや哲学を紹介する。
中でも圧巻なのは、壁一面に広がる堤さんによるラフスケッチ(カラースクリプト)だ。これらは、本格的なCG制作の前に、ストーリーの最初から最後までの“光”をデザインしたもので、背景、キャラクターの感情、ストーリーの高まりなどを全体のバランスを整えながら表現するための重要な作業だ。“光と影“は堤さんが長年意識し続けているテーマで、本作でも日本の気候や天気を表現する“光”に最もこだわったのだそう。どこか懐かしく、息を呑む美しい情景は慎重な作業により作られているのだと実感する。
また、会場内特設シアターでは、「ONI ~ 神々山のおなり」と、トンコハウスによるアニメーション作品「ダム・キーパー」(約18分)、「ピッグ – 丘の上のダム・キーパー」(約47分)、「ムーム」(約14分)、「Acorns」(約16分)の4作品を特別上映している。
「ONI」の世界観とそれを表現した本展には、日本にある伝承や特有の空気感などがぎゅっと詰まっている。ストリーミングでコンテンツ消費することが多くなった時代だからこそ、ここでしか味わえない新たな映像体験にてそれらを感じ取ってみて欲しい。
「ONI展」
会場:PLAY! MUSEUM
〒190-0014 東京都立川市緑町3−1 GREENSPRINGS W3棟 2F
TEL:042-518-9625
会期:2023年1月21日(土)~2023年4月2日(日)
休館日:3月5日(日)
会館時間:【平日】10:00〜17:00(入場は16:30まで)
【土日祝】10:00〜18:00 (入場は17:30まで)
入場料:一般1,800円、大学生1,200円、高校生1,000円、中・小学生600円
*チケット情報に関してはこちらをご覧ください
「ONI ~ 神々山のおなり」上映スケジュール
1月21日(土)〜2月12日(日):第1話(約39分)
2月13日(月)〜3月4日(土): 第2話(約41分)
3月6日(月)〜3月19日(日): 第3話(約41分)
3月20日(月)〜4月2日(日): 第4話(約44分)
上映時間:①11:05〜/②13:00〜/③15:00〜/④17:00〜(④は土日祝のみ)