イラストレーターに聞く“5つの質問” 第7回山本周司さん

『illustration FILE 2022』巻頭企画「イラストレーターに聞く“5つの質問”」。そこには、イラストレーターのみなさんの実感を伴った言葉が多数掲載されています。新型コロナウイルスの影響が色濃く残っていた2022年。日常の在り方が刻一刻と変わっていく中で、イラストレーターの方々は何を考え、感じ、どのように絵と向き合っていたのでしょうか?

本記事では、掲載された方々の中から編集部が12名をピックアップし、当時の回答をそのまま紹介します。第7回に登場するのは、ポップな作風で、パッケージやロゴ、キャラクターイラストレーションなど幅広い分野で活躍するほか、アーティストとしても活躍する山本周司さんです。

(連載のまとめはこちらから)

 


山本周司

オリジナル作品「CHEMICAL POP PLANT」
東京在住。イラストプロダクションを経て2000年よりフリーイラストレーターとして活動。2004年から2008年までNYにて活動。広告、WEB、CD、デジタルサイネージなど多くの媒体にビジュアルを提供。企業やアパレル商品とのコラボ多数。2017年より毎年オリジナル作品で個展を開催するなどアーティストとしても活動中

ウェブサイト:https://waxwaxpro.com

Instagram @waxwaxpro

 

Q1

「イラストレーション」という言葉の持つ意味合いが多様化する昨今、イラストレーターの仕事をどう捉えていますか? また、イラストレーションに感じる希望や可能性、ご自身が力を入れていることは何ですか?

イラストレーターとして活動を始めた25年前と比べ媒体や仕事内容も大きく変わったと実感します。Web、アプリ、バナーやサイネージなど動くものが求められたり。今後もどんどん変わっていくと思いますが、新しいものに挑戦しつつ、楽しんで仕事できればいいですね。自分としては毎年個展を開いて、新しいことや気になってたことを試して発表しています。自由に表現されたその作品たちが、次の新しい何かへの提案となってつながっていけばいいなと思います。

 

Q2

仕事や自主制作の時に使用する画材や紙、デバイス、ソフトウェアはどういったものですか?

仕事で使用しているのはiMac、MacBook。使用ソフトはIllustrator、Photoshop、たまにAnimate。ラフは、ボールペンかペンタブを使ってデジタルで制作します。展覧会ではデジタルに加え、ペン、シルクスクリーンプリントや油性ペイントなどを使用しています。

 

Q3

新型コロナウイルスによる日常生活や仕事の変化、影響はありましたか?

コンペ参加のお話をいくつかもらったりしましたが、案件が延期したり、なくなったりしています。イベント系など広告の仕事も減ったように思います。代わりに雑貨店やアパレルなどとのお仕事が増えました。また、特に意識してなかったのですが、このコロナ禍の雰囲気、状況に反して作品は前よりもポップに、よりハッピーになったように思います。

 

Q4

絵を描くときの思考や技術の礎、実作業の時の着想源や資料として利用するものはどんなものですか? また、2021年印象に残ったものは?

絵を描く時の思考や技術の礎は、海外に住んだり、世界を旅したりした経験にあると思います。それらに加えて、資料や刺激を受けるものをSNS上で見つける機会も増えました。いつも何かしら気になるものがあれば保存しておきます。昔からストリートの感じが好きなので、街の建物や店舗、サインからインスパイアを受けることもあります。

 

Q5

実際に仕事をする上で気をつけていること、知っていてよかったこと、今後身に付けたい技術や知識は?

普段はデジタルで作品を作りますが、過去に勤めた看板屋での経験やイラストプロダクションでのアナログの経験がデジタルでデザインする時に活きているように思います。アナログで作品を作る時もデジタルで出力して正確な原稿を作れます。今後は動画の技術や知識も身につけて、制作過程を記録したり新たな作品が作れたらいいなと思います。

 


※本記事は『illustration FILE 2022』下巻の内容を本Webサイト用に調整・再録したものです。記載している内容は出版当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

『illustration FILE 2022 下巻』(玄光社)

 


関連記事