植物の命を知る「収蔵品“花と果物”×絵本作家・荒井真紀=かんさつのじかん」が武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中 9月1日(日)まで

東京・武蔵野市立吉祥寺美術館では、“花”や、“植物”にスポットを当てた展覧会「収蔵品“花と果物”×絵本作家・荒井真紀=かんさつのじかん」が開催されている。会期は9月1日(日)まで。

私たちの身近にあり、一年をとおして力強い生命力を感じさせてさせてくれる植物。本展は、吉祥寺美術館が所蔵する“花”や、“植物”をモチーフに描かれた作品と、絵本作家・荒井真紀さんの作品をとおして植物の命と向き合い、観察の楽しさを知る展覧会だ。

荒井さんは、16歳の時に細密画家・熊田千佳慕さんに弟子入り。子どもたちに身近な植物の生態をわかりやすく伝えたいという思いから、図鑑的な写実要素だけではなく、独自の観察眼と植物への優しさが溢れたノンフィクション絵本を手がけている。

第1部では、「生命の循環」をテーマに、荒井さんの作品約70点を紹介する。2017年、ブラチスラバ国際絵本原画展にて「金のりんご賞」を受賞した『たんぽぽ』をはじめとする『あさがお』『ひまわり』(いずれも金の星社)の三部作の“花”、『いちご』『トマト』(共に小学館)、『まどのむこうの くだものなあに?』(福音館書店)の“果物”の作品を展示。また、『まどのむこうの やさいはなあに?』(福音館書店)の“野菜”の作品、そして未刊行の絵本『そのなかには……?』(「ちいさなかがくのとも」2025年1月号 福音館書店)の原画も展示される。

さらに、荒井さんの絵本原画の解説には、NHK「ダーウィンが来た」への番組出演や取材協力などでも知られる、植物観察家・鈴木純さんの「観察コメント」も加わる。植物観察家ならではの着眼点にも注目したい。

第2部では同館収蔵の、日本画、油彩画、版画、イラストレーションなど、多岐にわたるジャンルの“花”や、“植物”の作品を紹介する。画材や技法が異なる中で、さまざまな作家によって描かれたモチーフは、込められた意図や理由も異なれば、意味そのものがない場合もあるが、作品と向き合えば、見る側それぞれにきっと発見があるはずだ。また、日本画家・小畠鼎子さんの修復を終えたばかりの作品《盛夏》(1953年/紙本着彩、二曲屏風)、《梨栽培》(1960年/紙本着彩、二曲屏風)も初公開される。

永沢まこと《ひまわり畑》1992年
小畠鼎子《盛夏》1953年
小畠鼎子《梨栽培》1960年

美術館で作品を観察した後は、実際に植物や野菜を観察してみてはいかがだろう。ミュージアムショップでは、鈴木さんが「変化」をテーマに、とっておきの夏の植物観察のポイントを伝授してくれるワークシートや、荒井さんの絵本原画の魅力をギュッと詰め込んだ、冊子&ポストカードセットなどオリジナルグッズを販売している。植物のエネルギーみなぎるこの季節、ぜひ身近な植物たちの絵を見て、そして日常の中でも観察を楽しんでほしい。

ワークシート 100円(税込)
冊子&ポストカードセット 1650円(税込)
冊子&ポストカードセット

〈展示予定作家〉

日本画……永田春水(ながたしゅんすい)、小畠鼎子(こばたけていこ)/ 油彩画……小畠辰之助(こばたけたつのすけ)、山喜多二郎太(やまきたじろうた)

版画……萩原英雄(はぎわらひでお)、浜口陽三(はまぐちようぞう)/ イラストレーション……永沢まこと(ながさわまこと)

 

〈プロフィール〉

荒井真紀(あらいまき)/1965年東京生まれ。駒澤大学仏教学部禅学科卒業。1981年16歳の時より、熊田千佳慕氏に師事する。1984年第1回国立科学博物館主催ボタニカルアート展佳作に入選(同展第2回~第4回5年連続入選)。『たんぽぽ』(金の星社)が、2017年度ブラチスラバ世界絵本原画展にて、「金のりんご賞」を受賞。代表作に『ひまわり』(金の星社 2013年)、『チューリップ』(小学館 2017年)、『トマト』(小学館 2023年)、『こどものとも年中向き まどのむこうの やさいは なあに?』(2022年7月号 いずれも福音館書店)など多数。

鈴木純(すずきじゅん)/1986年東京生まれ。東京農業大学で造園学を学んだのち、青年海外協力隊に参加。中国で2年間砂漠緑化活動に従事する。2018年にまち専門の植物ガイドとして独立。本業は、都市環境をフィールドにした植物観察会の開催。「東京農業大学 緑のフォーラム2021」にて造園大賞を受賞。『ダーウィンが来た!(NHK)』の取材協力や番組出演など。初の絵本『シロツメクサはともだち』(ブロンズ新社 2024年)を刊行。

 


【収蔵品”花と果物”×絵本作家・荒井真紀=かんさつのじかん】

会期:2024年7月27日(土)~2024年9月1日(日)

開館時間:10:00〜19:30

休館日:7月31日(水)、8月28日(水)

入場料:300円 *中高生100円、小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料

会場:武蔵野市立吉祥寺美術館(Google Map

住所:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8−16 コピス吉祥寺A館 7F

ウェブサイト:https://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1003349/1006448.html

 


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