イラストレーターに聞く“5つの質問” 第12回 吉田ユウスケさん

『illustration FILE 2022』巻頭企画「イラストレーターに聞く“5つの質問”」。そこには、イラストレーターのみなさんの実感を伴った言葉が多数掲載されています。

新型コロナウイルスの影響が色濃く残っていた2022年。日常の在り方が刻一刻と変わっていく中で、イラストレーターの方々は何を考え、感じ、どのように絵と向き合っていたのでしょうか?

本記事では、掲載された方々の中から編集部が12名をピックアップし、当時の回答をそのまま紹介します。最終回に登場するのは、親しみやすい作風で、教科書、広告、パンフレットなど幅広い媒体にイラストレーションを提供する吉田ユウスケさんです。

(連載のまとめはこちらから)

 


吉田ユウスケ

オリジナル作品「New year’s greeting」

1975年京都府出身。IT・デザイン業からイラストレーターへ転身。現行の教科書にも多数の絵を掲載して頂いておりますが、今後も子どもや動物達に関連するお仕事を中心に活動してゆければと思います。

ウェブサイト

Instagram @ysdyuskillustration

X(旧Twitter) @ysdyusk

 

Q1

「イラストレーション」という言葉の持つ意味合いが多様化する昨今、イラストレーターの仕事をどう捉えていますか? また、イラストレーションに感じる希望や可能性、ご自身が力を入れていることは何ですか?

日頃からイラストレーションは「世界を明るくするもの」だと思っているのですが、この2年の状況を鑑みると改めてその力を信じたくなります。そして、イラストレーションにはそれができるとも考えています。僅かであっても自分も誰かに「明るさ・楽しさ」を届けられたらと思い、日々創作を続けております。

 

Q2

仕事や自主制作の時に使用する画材や紙、デバイス、ソフトウェアはどういったものですか?

基本的にPhotoshopで制作しております。テクスチャなどは紙に描いてスキャンして使用します。絵を描く液晶タブレット用のPCとそれ以外の作業(デザイン作業や事務作業など)のPCを分けているのが他の方と少し違うところだと思います。iPadでの制作も何度かトライしておりますが、小さな画面で描くのが苦手なので残念ながらまだ使いこなせておりません……。

 

Q3

新型コロナウイルスによる日常生活や仕事の変化、影響はありましたか?

この2年でお打ち合わせのほとんどがオンラインになっていますが、対面して同じ空間で物事を考えることの価値を改めて感じます。移動がなくなりとても便利なツールではあるのですが、オンラインでのお話はどうも「間」や「機微」のようなものが介在しづらく、また雑談などもほとんどなくなってしまい、どこか「業務的」になりがちですのでそこは少し寂しいです。

 

Q4

絵を描くときの思考や技術の礎、実作業の時の着想源や資料として利用するものはどんなものですか? また、2021年印象に残ったものは?

自身が描く絵においては何かしらの「物語性」や「おかしみ」を感じられるよう心がけていますので、ちょっとした仕かけやとんちのような要素が含まれるようにしています。参考となる資料としては絵本などもよく開きますが、普段ネットサーフィンをしながらパッと目がいったものを保存して、目についた理由を後から考えてみたりすることが多いです。2021年に見た中で印象深かったものは特にありませんが、改めてアナログで描かれた絵に魅力を感じています。

 

Q5

実際に仕事をする上で気をつけていること、知っていてよかったこと、今後身に付けたい技術や知識は?

画面で見る時と紙で見る時では活動する脳の部分が違う、と以前から聞いておりますので、普段からとにかく「紙に印刷して確認する・考える」ようにしています。実際印刷して確認すると画面では思いつかなかったことがぽんぽん出てきます。また今後については、自分のイラストレーションに求めるものがPCでは限界があると感じていますので、アナログ画材を織り交ぜた絵の制作も始めようと思っています。

 


※本記事は『illustration FILE 2022』下巻の内容を本Webサイト用に調整・再録したものです。記載している内容は出版当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

『illustration FILE 2022 下巻』(玄光社)


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