読書だより:第5号『Mo story 子猫のモー』

週の始まりに、絵本や漫画、創作に関する書籍などを中心に、楽しく読める1冊をご紹介する本連載。お昼休憩や帰宅後の時間のお供に、はたまたお子さまへの読み聞かせに……。気になる本に出会ったら、ぜひ手に取ってみてください。

7月のラインナップは「旅と冒険」がテーマ。今回は、『Mo story 子猫のモー』(玄光社)をご紹介します。

 


『Mo story 子猫のモー』

チェ・ヨンジュ 作・絵 矢部太郎 訳(玄光社)

2,500円+税 日本語版D:武田厚志(SOUVENIR DESIGN INC. )

秋と冬の間、森に住む生き物たちも寝静まる真夜中。なんだか眠れずにいた子猫のモーは、窓の外に、笑っているように見える不思議な光を見付けます。

光を追いかけ家を出たモー。フクロウじいさんやヤマガラ夫婦、キタリスの紳士にアライグマのコックさんなど、森の中でさまざまな動物たちに出会いますが、みんな「笑っている光」のことは知らない様子。

「さようなら、モー! 怖いクマには気をつけて!」

そんな中、旅を続けるモーの行く手を嵐が阻みます。すると、雨に打たれ動けずにいるモーの方へ、フーフーという鼻息と落ち葉を踏みしめる足音が近付いてきて……。

韓国でベストセラーとなった子猫の冒険を描いた絵本を、お笑い芸人・漫画家の矢部太郎さんが訳した同作。

素晴らしいのはなんと言ってもキャラクターたち! 絶妙なデフォルメにチャーミングな動きと表情が乗っかり、人間くさいセリフと相まって不思議な魅力は溢れんばかり。森の風景も美しく、ペン先が紙を擦る音が聞こえてきそうな細かなタッチは、何度読み返しても新鮮な驚きを与えてくれます。

森の動物たちと時に助け合いながら進む先に、モーは「笑っている光」を見付けることが出来るのか? 読み終えたらきっと「こんな素敵な本を見付けたよ」と誰かに教えたくなる1冊です。モーの冒険の結末を、ぜひ本を手に取って確かめてください。

▶︎『Mo story 子猫のモー』(玄光社)


関連記事