時を超えた世界旅行へ 「版画家たちの世界旅行 – 古代エジプトから近未来都市まで」が、東京・町田の町田市立国際版画美術館で開催中

旅や移動をテーマにした西洋の版画作品を集めた展覧会「版画家たちの世界旅行 – 古代エジプトから近未来都市まで」が、東京・町田の町田市立国際版画美術館で開催されている。会期は9月24日(日)まで。

 

古くから、「旅」にインスピレーションを受けてきた西洋の版画家たち。芸術家としての修行や仕事、観光など、さまざまな理由から険しい山を馬車で越え、大海原を帆船で渡る危険な旅に身を投じ、鉄道や蒸気船が普及する19世紀には、その行動範囲はヨーロッパをも越えていった。それと同時に、制作においても、これまで見過ごされてきた身近な自然風景やにぎやかな都市生活にも光が当てられるようになっていく。

同展では、収蔵品コレクションから西洋版画を中心に、旅や移動に関わる16~20世紀の作品を約160点展示する。

科学芸術委員会(編)『エジプト誌』より、1809-1828年刊、エッチング、町田市立国際版画美術館
科学芸術委員会(編)『エジプト誌』より、1809-1828年刊、エッチング、町田市立国際版画美術館

古代文明発祥の地であるエジプトから、古代ローマの遺跡やルネサンスの絵画彫刻などで多くの芸術家たちを魅了したイタリア、19世紀にヨーロッパで流行した「オリエンタリズム(東洋趣味)」で脚光を浴びた東洋諸国をはじめとする国々、そして都市と自然が共存するイギリスやフランス、高層ビルの立ち並ぶアメリカ・ニューヨークまで……。

同展では、木版や石版、エッチングにシルクスクリーンなど、あらゆる技法で描かれる風景や街の人々の様子を、4章に分けて紹介する。そして最後となる第5章では、現代の「旅する芸術家」として、「クリストとジャンヌ=クロード」の芸術家夫婦と、ヨーロッパからアジア、南極までを旅した版画家ヨルク・シュマイサーにスポットを当てる。

アルフォンス・ド・カイユー、シャルル・ノディエ、テロール男爵(編)『古きフランスのピトレスクでロマンティックな旅』より、1820-25年刊、リトグラフ、町田市立国際版画美術館

 

オーギュスト・ルペール《チュイルリー公園の池》1898年、木版(多色)、町田市立国際版画美術館
フェリックス・ヴァロットン 『万国博覧会』 1901年、木版、町田市立国際版画美術館

展示のほかにも、バックヤードツアーや鑑賞会など親子で楽しめるイベントも充実。また、夏休み企画として、子どもも楽しめるジュニアガイドやミニ解説の用意も。

400年の時を超えて世界中の風景をめぐる世界旅行に、この夏出かけてみてはいかがだろうか。

 


イベント情報

記念講演会「旅と版画 驚異・発見・夢想」

日時:9月18日(月・祝) 14:00~15:30

講師:巖谷國士氏(いわや・くにお/仏文学者・美術批評家・旅行作家)

定員:110名(申込順) 

【申し込み期間】2023年8月8日(火)正午~9月15日(金) ※お申し込みはこちらから。定員に達し次第締め切り。

 

こどものための鑑賞会「はんがワールドツアー」

8月19日(土) ①13:15~14:30 / ②15:00~16:15

講師:冨田めぐみ氏(NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会代表理事)

対象:小学生とその保護者 *小学生のみ参加無料。

定員:各回8組(申込順)

【申し込み期間】2023年7月21日(金)正午~8月16日(水) ※お申し込みはこちらから。定員に達し次第締め切り。

 

担当学芸員によるギャラリートーク

日時:8月20日(日)14:00~(30分程度)

*当日有効観覧券をご用意ください

 

プロムナード・コンサート「音楽の世界を旅する」

日時:9月9日(土) ※各回30分程度

【第1部】13:00~(演奏:桜美林大学芸術文化学群)

【第2部】15:00~(演奏:玉川大学芸術学部)


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