溢れる生命の躍動を感じに 「本と美術の展覧会vol.5 あふれる、うごめく、のめりこむ。-絵本原画とアートの空間-」が太田市美術館・図書館で開催


2017年より太田市美術館・図書館にて開催されてきた「本と美術の展覧会」シリーズ。その第5回となる「本と美術の展覧会vol.5  あふれる、うごめく、のめりこむ。-絵本原画とアートの空間-」が2024年2月23日(金・祝)に開幕する。会期は5月26日(日)まで。

同展では、絵本、そしてそれ以外の領域でも独自の世界観を確立し活躍している田島征三さん、ミロコマチコさん、舘野鴻さんの3名が紹介される。

田島征三『た』原画 2022年

人間や動物の躍動する生命を描き出す田島征三さん、動植物や自然の気配をのびやかに描くミロコマチコさん、そして丁寧な調査を経て細密に虫や自然の姿を描く舘野鴻さん。

作者が生物や自然から感じ取った生命の力強さを溢れんばかりに描き出し、その輝きを物語る作品たちは見る者の知覚を揺さぶり、作品世界へ誘う強い魅力を携えている。

ミロコマチコ『みえないりゅう』原画 2023年

同展では、近年刊行された田島さんの『た』(佼成出版社)、ミロコさんの『みえないりゅう』(ミシマ社)、そして舘野さんの『どんぐり』(小峰書店)などの絵本の原画が多数展示されるのに加え、平面作品、立体作品、そして絵本製作のプロセスで生まれたデッサンやメモも展示される

舘野鴻『がろあむし』原画 2018年

また、3名による鼎談、舘野さんによる学生へ向けたワークショップ、親子連れにうれしいアートさんぽといったイベントも多数。

春を目前に、芽吹きの気配を感じる季節がやってくる。3名の作家が描き出す自然と命の躍動を感じに、ぜひ会場へ足を運んで欲しい。

 


作家紹介

田島征三(たしま・せいぞう)

1940年大阪府生まれ。1969年『ちからたろう』(今江祥智 作/ポプラ社)でブラチスラバ世界絵本原画展金のりんご賞を受賞。以来、『ふきまんぶく』、『とべバッタ』『つかまえた』(いずれも偕成社)などの絵本で受賞多数。2009年、新潟市十日町の廃校を集落の人たちと共に再生し、「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」を開設。絵本や絵画のほか、流木や木の実などの自然物による作品も制作している。また、鉄彫刻にも挑戦し、広東南海大地の芸術祭2022(中国)に出品した。

ミロコマチコ

1981年大阪府生まれ。絵画制作を行う傍ら、2012年にデビュー作となる絵本『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)で日本絵本賞大賞を、2015年に『オレときいろ』(WAVE出版)でブラチスラバ世界絵本原画展 金のりんご賞を受賞するなど、国内外でさまざまな賞に輝く。絵本、装画、絵画、立体、ライブペインティングなど多岐にわたる創作活動を行う。2019年より南の島に移住し、2023年には移住後初の絵本となる『みえないりゅう』(ミシマ社)を出版した。

舘野鴻(たての・ひろし)

1968年神奈川県生まれ。幼少期より熊田千佳慕に師事。札幌学院大学在学中に、昆虫採集をしながら演劇、舞踏、音楽に没頭。その後、生物調査の報告書や図鑑などの挿絵として野生生物を描き、徹底した調査に基づいて細密に描かれた初の絵本『しでむし』(偕成社)を2009年に出版。『つちはんみょう』(偕成社)で小学館 児童出版文化賞を受賞した。エッセイ「命は描けるか」(web岩波)、小説『ソロ沼のものがたり』(岩波書店)など、執筆も多数。

 


【本と美術の展覧会vol.5 あふれる、うごめく、のめりこむ。-絵本原画とアートの空間-】

 

会期:2024年2月23日(金・祝)〜5月26日(日)

会場:太田市美術館・図書館 展示室1、2、3、スロープ

時間:10:00〜18:00(展示室への入室は17:30まで)

休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は祝日のため開館、翌火曜日休館)、2月27日、3月26日、4月23日

 


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