読書だより:第7号『できあがり』

週の始まりに、絵本や漫画、創作に関する書籍などを中心に、楽しく読める1冊をご紹介する本連載。お昼休憩や帰宅後の時間のお供に、はたまたお子さまへの読み聞かせに……。気になる本に出会ったら、ぜひ手に取ってみてください。

旅に休息はつきもので、「旅と冒険」をテーマに進めてきた7月も、今週はひと休み。今回は美味しいごはんの絵本『できあがり』(福音館書店)をご紹介します。

 


『できあがり』

彦坂有紀+もりといずみ 作(福音館書店)

1,100円+税 装丁:中本陽子

「ロールパンで なに つくろう

 まんなかに レタスを いれて

 ウインナーを はさんだら

 はい、ホットドッグの できあがり!」

子供たちの好きな食べ物が、ページをめくると「できあがり」。さあ、どうぞめしあがれ! 木版画で美味しそうな食べ物を描く彦坂木版工房のお2人による最新作は、作り、食べることへのうれしい気持ちを実感できる、食べ物絵本の新定番です。

ページをめくっていくと現れるのは、ロールパンにおにぎり、こんがり焼けたトーストにうどん、そしてふわふわのオムライス……。柔らかな色と繊細な濃淡で描き出される食べ物たちは、思わず手を伸ばしそうになるほどリアルで、湯気や匂いまで漂ってくるかのよう。版と色の組み合わせで、ここまで温かみのある手触りや表情が再現出来ることに驚かされます。

トーストにはジャムを、うどんにはお揚げにお餅、チキンライスは卵でくるんで。次から次にできあがる食べ物たちに胸が踊り、お腹の虫は歌い出します。

ごはんは作って楽しい、食べてうれしい! 食べることが大好きなお子さまと楽しく読めるのはもちろんのこと、毎日の食事をもっとワクワクしたものに変えてくれる絵本です。さあ、今日は何食べよう?

▶︎『できあがり』

 


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