絵本作家のもう1つの顔を紹介する「片山健の油彩画展 濃密な記憶と懐かしい匂い」が開催

《夜の庭》1989年 作家蔵=今回、初公開 ⓒKen Katayama

武蔵野市吉祥寺美術館で、絵本作家・片山健さんの油彩画にスポットを当てた展覧会「片山健の油彩画展 濃密な記憶と懐かしい匂い」が10月1日(土)より開催される。

片山さんは1940年に武蔵野市に生まれ、幼い頃に市内で戦争を体験。武蔵野美術大学商業デザイン科を卒業後、1968年に絵本作家としてデビュー。代表作『ぼくからみると』(のら書店/2014年 *初出1983年)をはじめ、自身の娘を主人公にした人気の「コッコさん」シリーズ(福音館書店)、作家で詩人の妻・片山令子さんが文章を手がけた作品など、あわせて100冊近くの絵本が刊行されている。

『コッコさんのかかし』 (文 片山健 福音館書店 1996年) ⓒKen Katayama

絵本作家としての印象が強い片山さんだが、油彩画家としての顔も持ち、これまでに多くの油彩画を制作している。本展では、そんな片山さんの油彩画の魅力を紐解いていく。

ロビーを含め会場では、片山さん自身のアトリエに置かれていた小品をはじめ、10名以上の個人コレクターからも作品を借用し、約90点の油彩画がずらりと並ぶ。代表作「水蜜桃」シリーズや、かつて家族で住んでいた三鷹市内の牟礼団地をテーマに描いた、同タイトルの対となる大作「夜の庭」シリーズ(1993年/1989年)、そのほか初出となる作品も数多く公開する。

《水蜜桃1》1985年 個人蔵 ⓒKen Katayama

 

《水蜜桃2》 1985年 小さな絵本美術館蔵 ⓒKen Katayama

常に多様な画材を用いて絵本を制作してきた片山さん。高校時代から大好きだったという、フィンセント・ファン・ゴッホの影響を思わせるダイナミックな作品からは、鉛筆や水彩とはまた異なる、油彩画独特の美しさと力強さを間近で感じることが出来るだろう。

また、監修者の土井章史さん(トムズボックス主宰)と、本展デザイナーで、作品のモデルである長男の片山中蔵さんによるトークイベントも開催される。この貴重な機会に、ぜひ足を運んでみて欲しい。

《線をひく人》1999年 作家蔵 ⓒKen Katayama

 

〈プロフィール〉

かたやまけん/1940 年、東京都武蔵野市生まれ。『タンゲくん』(福音館書店)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。絵本に『おやすみなさいコッコさん』『おなかのすくさんぽ』『もりのおばけ』(以上福音館書店)、『ぼくからみると』(のら書店)、『どんどんどんどん』(文研出版)、『のまどくん』(文溪堂)など。画集に『いる子ども』(パルコ出版)などがある。

どいあきふみ(「トムズボックス」主宰・本展監修者)/1957年、広島県生まれ。絵本編集者として約300冊の絵本の企画編集に携わる。絵本ワークショップ「あとさき塾」を小野明氏と主宰。絵本作家の新人発掘に力を入れている。

 


片山健の油彩画展 濃密な記憶と懐かしい匂い

会期:2022年10月1日(土)~11月13日(日)

休館日:10月26日(水)

場所:武蔵野市立吉祥寺美術館

時間:10:00〜19:30

入館料:一般300円、中高生100円(小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)

住所:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8−16 コピス吉祥寺A館 7F

ウェブサイト:https://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1002008/1004051.html

 

トークショー 「油彩画家としての片山健を語る」

日付:11月3日(木・祝)

時間:14:00~16:00

場所:武蔵野市立吉祥寺美術館音楽室

定員:40名(申し込み先着順)

*10月3日(月)10時より、電話(0422⁻22⁻0385)のみで受付開始。ただし、1回のお電話につき、2名まで受付可。

出演:片山中蔵(本展デザイナー *片山氏長男)・土井章史(本展監修者・編集者 *「トムズボックス」主宰)

参加費:無料 *ただし、美術館チケットが必要


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