特集印刷加工ポスターの制作の裏側に迫る「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮 Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-」が開催中

「宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮 Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-(前期)」が、市谷の杜 本と活字館で開催されている。前期の会期は6月25日(日)まで(後期は2023年6月28日〜10月29日)。

「印刷というのはイラストレーションを確実に復元するんじゃなくて、出来上がったものがよければそれが一番いい」。日本を代表するイラストレーター、グラフィックデザイナーの宇野亞喜良さんはそう語り、60年以上におよぶキャリアの中で、印刷だからこそ実現可能な表現に取り組んできた。

そんな宇野さんの「俳句と少女」をテーマにした原画を題材に、雑誌『デザインのひきだし』(グラフィック社)編集長の津田淳子さんが、特殊印刷設計を施した新たな作品を生み出した。オフセット印刷、箔押し、段ボール紙や新聞紙へのシルクスクリーン印刷、手漉き透かし和紙など、多数の異なる表現方法によって、新たな作品として蘇った煌びやかなポスターの数々。それらはギンザ・グラフィック・ギャラリーで2022年12月から2023年1月にかけて開催された展覧会「宇野亞喜良 万華鏡」で展示され話題を呼んだ。

本展では、「宇野亞喜良 万華鏡」で展示されたポスターをはじめ、その制作過程や技法の解説、さらには津田さんの修正指示が書かれた色校正紙や印刷の版などが並ぶ。完成に向けた試行錯誤の舞台裏を「印刷花絮(かじょ)(こぼれ話、裏話)」と題し、前期後期に分けて紹介する。

また、当館の2階制作室で開催のしおりの活版印刷体験を、会期中は宇野さんのモチーフで印刷出来るほか、1階喫茶では本展とのコラボドリンクも。「宇野亞喜良 万華鏡」展に合わせて刊行された作品集や関連書籍、グッズの販売もあるのでチェックしたい。

時代を超えて普遍的な魅力を放ち続ける宇野作品が、印刷の専門家も驚く姿に変貌した、19作品、21種類の特殊印刷加工ポスターはどのように作られたのか。印刷だからこそ出来る表現、そして宇野亞喜良ワールドを、この機会にぜひたっぷりと体感してみて欲しい。

 

『宇野亞喜良画集 Kaleidoscope』(グラフィック社)

 

〈プロフィール〉

宇野亞喜良/1934年名古屋市生まれ。名古屋市立工芸高校図案科卒業。カルピス食品工業、日本デザインセンター、スタジオ・イルフィルを経てフリー。日宣美特選、日宣美会員賞、講談社出版文化賞さしえ賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞、日本絵本賞、全広連日本宣伝賞山名賞、読売演劇大賞選考委員特別賞等を受賞。1999年紫綬褒章、2010年旭日小綬章受章。
主な作品に、『宇野亜喜良60年代ポスター集』(スペースシャワーネットワーク)、『奥の横道』(幻戯書房)、『MONOAQUIRAX+』(愛育社)、『宇野亞喜良クロニクル』(ラフィック社)、『宇野亞喜良ファンタジー挿絵の世界』(パイインターナショナル)。絵本に、『あのこ』(BL出版/今江祥智・文)、『白猫亭』(小学館/寺山修司・原作)、『上海異人娼館』(アートン/寺山修司・原作)、『おおきなひとみ』(芸術新聞社/谷川俊太郎・詩)、『X字架』、『恋人たち』(共に芸術新聞社/穂村弘・文)など。刈谷市美術館、Bunkamuraギャラリー他、個展多数。キュレーターや舞台美術も手がける。

 


宇野亞喜良 万華鏡印刷花絮 Aquirax Uno Kaleidoscope -Behind the Scene-

会期:2023年3月4日(土)〜6月25日(日)/ 後期 2023年6月28日(水)〜10月29日(日)

休館日:月曜・火曜(祝日の場合は開館)

営業時間: 平日 11:30~20:00 土日祝 10:00~18:00

会場:市谷の杜 本と活字館2階展示室

〒162-8001 東京都新宿区市谷加賀町1-1-1

入場料:無料 *平日は完全予約制。土・日・祝は予約不要。

公式サイト:https://ichigaya-letterpress.jp/gallery/000287.html

 


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