【展覧会レポート】ピンチを楽しむ!? 鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」がPLAY! MUSEUMで好評開催中

子どもが暮らしのなかで陥るピンチをユーモラスに描き、ミリオンセラーを記録した絵本シリーズ『大ピンチずかん』(小学館)。作者である絵本作家・鈴木のりたけさんによる「大ピンチ展!プラス」が東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催されている。

内覧会に登場した鈴木さんは、「ピンチというのは、実は自分の身にふりかかって当たり前のもの。シリアスで災難なものであるという空気をなくし、笑いとばせるようにしたい」と『大ピンチずかん』の制作や今回の展示にかける思いを語った。

これまで横浜、大阪を巡回し、各地で盛り上がりを見せてきた同展覧会。鈴木さん自らが考案し、形になったさまざまなピンチが来場者を待ち構えるほか、PLAY! MUSEUM限定の特別展示も用意されている。会期は12月7日まで。

1.「みるピンチ」~特大ピンチを楽しもう~

「ショートケーキが倒れそう」「テープの端が見つからない」……といった誰もが一度は経験したことがあるであろうピンチが特大サイズに。

普段なら少しがっかりしてしまう場面でも、大きな絵として近くで眺めてみるといつも違った捉え方ができるかもしれない。

「大ピンチ倒れそうなショートケーキ」

 

「テープの大ピンチ!」

2.「なるピンチ」~ピンチを遊びで乗り越えよう~

トイレが使用中ならノックして話しかけよう、ということで考案されたのは「大ピンチトイレ」。通路の左右にさまざまな人(?)が使用中のトイレのドアが設置されている。

3.「かんがえるピンチ」~オリジナルのピンチをつくってみよう~

「大ピンチバー」は、「だれが・どこで・何を・どうした」という4つの言葉が書かれたバーを組み合わせて偶然のピンチを作り出すことができる。

鈴木さんは、「自分でイチから文章を作るもよし、誰かが作った文章を少しだけ入れ替えて新しいピンチを生み出してもよし。その場に居合わせた人たちで一緒に楽しさを共有できるのが醍醐味だ」と解説。

実際に言葉を組み合わせて文章を作ってみる鈴木のりたけさん。
言葉が書かれたバー。より多くの来場者が楽しめるようにバーの数を増やしたという。

4.「とびこむピンチ」~全身でピンチを体験しよう~

ピンチに自ら飛び込む体験ができる「とびこむピンチ」。見どころは『大ピンチずかん』の男の子が牛乳をこぼしてしまったシーンを立体化した「大ピンチぎゅうにゅうぶろ」。

満面の笑みで「大ピンチぎゅうにゅうぶろ」を楽しむ鈴木さん。

PLAY! MUSEUM限定 特別展示

さらに、今回の展覧会では絵本原画38点のほか、『大ピンチずかん』や同展覧会の制作過程をたどることのできるラフスケッチを特別に展示。

原画が展示されている絵本は、デビュー作『ケチャップマン』、『しごとば』、『たべもんどう』の3作。「おもしろがれば、世界が広がる」という考え方を大切にしている鈴木さん。それぞれが個性、仕事、言葉をおもしろがる絵本ということでピックアップされている。

『ケチャップマン』の原画の一部。

絵本に登場する数々のピンチは、机に座って考え出したものではなく、日々の子育ての中で子どもが実際に遭遇した場面がもとになっていると話す鈴木さん。

ショーケース内では、『大ピンチずかん』シリーズを制作する中で生まれたラフが惜しみなく展示されている。アイデアが形になっていくまでの過程をたどることのできる貴重な機会だ。

よく見ると完成形とは違うラフもあるので、それを探してみるのも楽しみ方の1つ。

子どもはもちろん大人も含め、「すべての人にピンチエンターテインメントを満喫してほしい」という鈴木さんの願いが込められた同展覧会。

記事では紹介しきれないピンチがまだまだたくさん会場に用意されている。また、PLAY! MUSEUMならではの展示内容もボリュームたっぷりなので、ぜひ会場で鈴木さんの「絵の世界」を堪能してほしい。


関連書籍

左:『犬ピンチずかん』、右:『大ピンチを楽しむ』

①公式図録『大ピンチを楽しむ』
鈴木のりたけ 語り・絵 インタビュー・構成 草刈大介 大渕蜜 編集
(ブルーシープ)/D:漆原悠一(tento)

②書籍『犬ピンチずかん』
大渕蜜、内藤理子 作 鈴木のりたけ 絵 かいぬしのみなさん 写真
(ブルーシープ)/BD:漆原悠一(tento)


「鈴木のりたけ「大ピンチ展!プラス」

会場:PLAY! MUSEUM

〒190-0014 東京都立川市緑町3−1 GREENSPRINGS W3棟 2F

TEL:042-518-9625

会期:2025年10月8日(水)~2025年12月7日(日)*会期中無休

開館時間:平日10:00〜17:00/土日祝10:00〜18:00 *入場は閉館の30分前まで

入場料:一般1,500円、大学生1,000円、高校生800円、中・小学生600円

チケット購入方法:10月23日(木)以降はオンライン(日時指定)にて販売

 

公式ウェブサイト:https://play2020.jp/article/pinch/


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