
『ぐりとぐら』でおなじみ、絵本・挿絵画家の山脇百合子さん。その創作活動の歩みと人物像をひもとく「『山脇百合子の仕事部屋』展」が三鷹の森ジブリ美術館でスタートした。会期は2027年5月までを予定している。11月18日に行われた内覧会には、ジブリ美術館館長の安西香月さんが登壇し、展示会の見どころを語った。
スタジオジブリと山脇さんの交流は、ともに絵本を生み出してきた姉・中川李枝子さんが「となりのトトロ」のオープニングテーマ曲「さんぽ」の作詞を依頼されたことから始まった。その後、1992年には絵本『そらいろのたね』を原作にしたショートアニメをスタジオジブリが制作するなど、長年にわたり交流を重ねてきた。
そうした縁が続くなか、25年前に宮﨑駿さんとともに山脇さんの自宅を訪れた香月さん。打ち合わせの合間に見せてもらった仕事部屋の様子が忘れられず、以来ずっと山脇さんの展示を開催したいと考えてきたという。
今回の企画展では、山脇さんの仕事部屋を展示室の一画に再現。準備に約1年の期間を費やした。会場ではこれまで山脇さんが手がけてきた約685作の仕事のほか、多数の蔵書や趣味の創作物、愛用品やコレクションを目にすることができる。なお、今回は展示品の保存状態を考慮し、原画ではなく基本的に複製を使用している。
また、現在ジブリ美術館ではクリスマス装飾が施され、館内はぬくもりに満ちた冬の雰囲気に彩られている。装飾期間は2025年12月26日まで。

再現された山脇さんの仕事部屋

「とにかく物が多くて、どれをどう見せるか整理するのが大変だった」と準備期間を振り返るジブリ美術館館長の香月さん。棚などに収まりきらないものは床にも置かれ、今にも山脇さんが部屋に戻ってきそうな気配さえ感じられた。部屋のあちこちにあるかわいらしい小物たちにも注目してほしい。


また、部屋の壁際にはびっしり埋まった本棚が並び、その読書家ぶりがうかがえる。室内にはなんと約2,000冊の書籍が展示されており、なかには小学生のころに読んでいた本も。原書を読んでみたいと買い求めた洋書も100冊ほどある。


作品や資料から伝わる仕事への思い

高校生にして画業をスタートさせた山脇さんのキャリアは60年にもわたる。子どもが見ている世界をよく観察し、彼らに寄り添った作品を発表し続けてきた山脇さんの作品がどのように生み出されてきたのかが、数々の展示品から垣間見えるはずだ。



山脇さんの人柄を感じられる数々の展示品

この企画展の見どころは、仕事で携わった作品以外に、日常的に描いてきた絵や大切にしてきたコレクションもふんだんに目にすることができること。多趣味で物集めが大好きだったという山脇さんの「4大趣味」はステンシル/編み物/刺繍/パッチワークキルト。先生に習いながらせっせと創作に励んでいたそうだ。




今回記事で紹介したのは、展示のほんの一部。多趣味で、気に入ったものを集めては長く大切にしていた山脇さん。企画展のサブタイトルのとおり、来場者ごとに「ごちゃごちゃから見えるもの」があるはず。山脇さんの魅力がぎゅっと詰まった空間をぜひ楽しんでほしい。
『山脇百合子の仕事部屋』展 ~ごちゃごちゃから見えるもの~

会場:三鷹の森ジブリ美術館
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀1-1-83
TEL:0570-055777 *受付10:00~18:00、休館日は休み
会期:2025年11月19日(水)~2027年5月(予定)*火曜日休館
開館時間:10:00~18:00
入場料:大人・大学生 1,000円/高校・中学生 700円/中学生以下無料
チケット:日時指定の予約制 *チケットは毎月10日に発売
(ローソンチケットにて取り扱い)
公式サイト:https://www.ghibli-museum.jp/exhibition/013979/







