広告や装画など幅広く活躍するイラストレーターのunpisさんが、初めて「NFTアート」に挑戦します。この企画のための特別な描き下ろしに加え、unpisさん自ら、作品を販売するNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」の担当者に出品のポイントを聞きました。
協力:Adam byGMO
「NFTアート」初出品の心得
unpis(以下、U):「NFTアート」を出品するのは今回が初めてで、あまり知識がなく不安や心配も多いです。今日は出品についてのポイントをいろいろ教えてください!そもそも、NFTマーケットプレイスの「Adam byGMO」 にはどんな作品が出品されているのでしょうか?
「Adam byGMO」担当者(以下、A):弊社のサービスがローンチしたのは、約1年前の2021年8月末です。初期はイラストレーターやマンガ家が出品する例が多かったのですが、最近は、音楽や動画、写真など、出品ジャンルは多岐にわたります。ただ、カテゴリとして変わらず人気なのは「イラスト」。単純ですが、画面で見た時にはっと目を引くビジュアルやデザインの作品はよく売れる傾向にあります。
U:なるほど。では、実際に作品を制作するにあたって、解像度やアプリなどの指定はあるのですか。
A:「Adam byGMO」だと、画像データの形式は一般的に使われているものであればOKです! データファイル容量の上限は1ファイルあたり1GBで、画面で見た時に粗さが出ないサイズであれば問題ありません(*1)。
*1:現状対応可能なファイル形式は以下のとおり。画像(JPG、PNG、GIF、SVG、PDF)、動画(MP4、WEBM)、音声(MP3、WAV、OGG)で上限1GB以内。その他(AI、PSD、MDP)、3D(GLB、GLTF)で30 MB以内。
U:それなら安心です。そういえば以前、「NFTアート」の購入者は再度その作品を販売することが出来る、と聞いたのですが本当ですか……? 「ロイヤリティ」の仕組みについても伺いたいです。
A:はい、すべての作品は 「Adam byGMO」の中ではもちろん、出庫していただくことで、他社のマーケットプレイスにも再販売が可能です。再販売するかどうかは保有者に委ねられています。「ロイヤリティ」は、流通が繰り返される度に出品者に支払われる対価のこと(*2)。unpisさんが出品時にロイヤリティを20%に設定した場合、二次流通で取引があるごとに、売買金額の20%が支払われます。
*2:「Adam byGMO」では、ロイヤリティを0~20%(5%刻み)で指定出来る。
これまで「二次流通」や「転売」はネガティブな意味合いが強いものでした。ただ「NFTアート」はロイヤリティが設定出来 、流通が活発になるほど作家への還元も増えるので、個人的にはいい仕組みだと感じています。
U:面白いですね。リアルの場合、若手の時に作品を販売してその後価格が上がったとしても、作家自身には何の還元もありません。そういう意味では、作家にとってうれしいシステムです。最後に、初出品をする時のポイントがあればぜひ教えてください!
A:これまで創作活動をされてきて、新たに「NFTアート」に挑戦される出品者の方には、「NFT」だからといって普段と比べて価格や作風を極端に変える……といった“特別なこと”はしなくていいと思います、 と伝えています。「NFTであっても、これまでの自身のコンセプトを伝える方が大切」とおっしゃっていた海外のクリエイターさんがいたのですが、個人的にも共感しました。一方で、販売方法については出品者が価格を決める「定額販売」のほか、「オークション販売」も可能です。また、無料でNFTを配布する「エアドロップ」もございますので、ファンの方へ作品を届ける方法を柔軟に試しながら、楽しんでもらえたらと思います。
unpis ウンピス
福島県生まれ。2018年から活動を開始し、2020年9月に独立。企業の広告、さまざまな書籍やパッケージを担当するなど、近年目覚ましく活躍の場を広げるイラストレーター。
描き下ろし作品へのコメント
データとしての絵を楽しむ「NFTアート」ということで、デジタルならではの表現(ドット絵)を入れてみました。作品はいつも描きやプリントでアナログに落としこんでいるので、デジタルで仕上げるのは新鮮で面白かったです。
本記事は『illustration』No.234の内容をウェブサイト用に調整・再録したものです。記載している内容は出版当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
本企画が掲載されている『illustration』No.234では、イケガミヨリユキさんと大桃洋祐さんのお2人の活動を、40Pにわたって特集しています。