イラストレーターに聞く“5つの質問”  第4回竹永絵里さん

 

『illustration FILE 2021』巻頭企画「イラストレーターに聞く“5つの質問”」。そこには、イラストレーターのみなさんの実感を伴った言葉が多数掲載されています。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、混乱が日常となっていった2021年。イラストレーターの方々は何を考え、感じ、どのように絵と向き合ってていたのでしょうか?
本記事では、掲載された方々の中から編集部が12名をピックアップし、当時の回答をそのまま紹介します。第4回目に登場するのは、柔らかいタッチで数々の国や地域、文化に関する書籍を出版し、イラストマップやパッケージなど、幅広くイラストレーションを手がける竹永絵里さんです。

(連載のまとめはこちらから)

 


竹永絵里

オリジナル作品「世界の民族衣装」

多摩美術大学卒業。F-SCHOOL OF ILLUSTRATION、山田博之イラストレーション講座受講。著書に『美味しい!可愛い!大人の台湾めぐり』(産業編集センター)、『日本の伝統工芸』(河出書房新社)など。柔らかいタッチで親しみのあるテイストが特徴。JAGDA会員。

ウェブサイト:https://takenagaeri.com

 

Q1

イラストレーションという言葉が多様化する昨今、今後のイラストレーターとしての方向性やイラストレーションの可能性をどのように考え、活動していますか?

イラストレーションを描くだけではなく、イラストレーションに付随する多様な活動に積極的に取り組む必要があると感じている。出来ないと思わずにチャレンジしていきたいと思うし、時代による変化を受け入れて学んでいく姿勢も大切だと感じる。ただ、どの場面においても、「イラストレーションに何が求められているのか」を考え、そこから外れないように心がけている。

 

Q2

仕事や自主制作の時に使用する画材や紙、デバイス、ソフトウェアはどういったものですか?

ラフはiPad、または紙と鉛筆を使用している。本描きは、色鉛筆で描いたものをPhotoshopで加工、もしくはiPadで描いて提出することもある。展覧会では、普段使わない画材にチャレンジしたいので、アクリル絵具を使用することが多い。

 

Q3

COVID-19の影響による生活や仕事の変化はどのようなものでしたか?

コロナ禍では、広告の仕事が減少したが、オンラインショップでのオリジナルグッズの売上が増加し、個人の顧客を増やすことが出来た。地方に移住した影響もあるが、打ち合わせの大半がオンラインになり、主な取引先である東京との距離感はほとんど感じなかった。ただ、移動が制限され展覧会へ行く機会が減り、作品の幅があまり広がらず停滞しているように感じている。

 

Q4

絵を描く時の思考や技術の礎、実作業の時の着想源や資料として利用するものはどんなものですかまた、2020年印象に残ったものは?

イラストレーションやアートの展示から影響を受けることが多い。また、旅で目にした風景や色彩からの影響も大きい。特に、世界の民族衣装が好きで長年追い続けている。2020年は地方に移住したので、四季の移ろいの中で目にした自然の風景が印象に残っている。

 

Q5

仕事上で気を付けていること、知っていてよかったこと、今後身に付けたい技術や知識はありますか?

自分が仕事を依頼する側だったらどのようにして欲しいか、と想像しながら、提出方法、スケジュールの管理、連絡の仕方など、相手が安心して進められるように行動している。大学時代に学んだ情報デザインがとても役に立っていて、どのように情報を整理してわかりやすく伝えるかを考える力が身に付いた。今の情報化社会では、とても必要な力だと感じている。地方での仕事はデザインも任されることが多いので、今後はデザイン全般の技術を習得していきたい。また、文章を書く技術を身に付け、発信する習慣を作っていきたい。

 


本記事は『illustration FILE 2021 下巻』の内容を本Webサイト用に調整・再録したものです。記載している内容は出版当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

『イラストレーションファイル2021 下巻』(玄光社)


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