『illustration FILE 2021』巻頭企画「イラストレーターに聞く“5つの質問”」。そこには、イラストレーターのみなさんの実感を伴った言葉が多数掲載されています。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、混乱が日常となっていった2021年。イラストレーターの方々は何を考え、感じ、どのように絵と向き合っていたのでしょうか?
本記事では、掲載された方々の中から編集部が12名をピックアップし、当時の回答をそのまま紹介します。第7回目に登場するのは、マーカーの印象深いにじみと鮮やかな色合いが美しい作品で広く知られ、展覧会やグッズ作りも精力的に行っている大久保つぐみさんです。
(連載のまとめはこちらから)
大久保つぐみ
1990年生まれ。日本大学藝術学部美術学科卒業。2015、2018年ザ・チョイス入選。作品製作は主にマーカーを使用。植物を描くのが好きです。様々な媒体で活動していきたいと思っています。オリジナル作品はウェブサイトをご覧下さい。
ウェブサイト:https://tsugumi-o.tumblr.com
Q1
“イラストレーション”という言葉が多様化する昨今、今後のイラストレーターとしての方向性やイラストレーションの可能性をどのように考え、活動していますか?
クライアントワークと自分が描きたいものや今興味があるものどちらも描いてよいバランスで活動出来 ればと思っています。仕事では風景や植物を描くことが多いので、食べ物や人物等のモチーフの絵も日記のように描き溜めて発信することで、いろいろな提案をしていきたいです。
Q2
仕事や自主制作の時に使用する画材や紙、デバイス、ソフトウェアはどういったものですか?
基本的にはマーカーを使用し、ごくたまに色鉛筆や絵具も併用します。納品時に必要であればPhotoshop等でデータを調整しています。
Q3
COVID-19の影響による生活や仕事の変化はどのようなものでしたか?
お仕事としては頂けた仕事もなくなった仕事もあるという感じです。日常生活では昨年はあまり外に出 られなかったので、より身近なものや風景を毎日よく見た年でした。非日常を体験し(例えば旅行に出かけたり)日常を改めて観察するというのが今までのスタイルだったので、多分見方が少し変わったかなと思います。
Q4
絵を描く時の思考や技術の礎、実作業の時の着想源や資料として利用するものはどんなものですか? また、2020年印象に残ったものは?
生活している中で見た風景や好きなことをしている時間、散歩の時間、記憶や写真等です。昨年は自分が動けなかった分、遠くにいる人から写真をもらい、資料にして制作した作品も増えました。また、見たものではなくて感じたものなのですが、数カ月まったく外に出られない期間があったので、久々に嗅いだ外の匂いが印象に残っています。こんなにこの世には匂いがあったのか、と。
Q5
仕事上で気を付けていること、知っていてよかったこと、今後身に付けたい技術や知識はありますか?
自分が描きたいものを更によく表現出来るようになりたいなと思いますし、そのための研究は日々していきたいです。昨年アニメーションのお仕事に少し関わったところ、とても大変だったのですが、自分の絵が動くのがとても面白かったので興味が湧きました。1枚の絵を描くのと違った楽しさがあったので、またやってみたいですし、そのためにいろいろと改めて学びたいなとも思っています。 また、仕事面では権利や規約関係のことに悩むことも多いので、そういった知識も今後もう少し身に付けたいです。
※本記事は『illustration FILE 2021 上巻』の内容を本Webサイト用に調整・再録したものです。記載している内容は出版当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。