「竜とそばかすの姫」での初挑戦 イケガミヨリユキさんインタビュー

角川つばさ文庫『竜とそばかすの姫』挿絵 ©2021 スタジオ地図

スタジオ地図が制作する新作アニメーション映画「竜とそばかすの姫」が7月16日(金)に公開された。

同作のキャラクターデザインに参加し、原作小説の角川つばさ文庫版の挿絵を担当したのは画家・イラストレーターのイケガミヨリユキさん。

人気作品のキャラクターデザイン、小説挿絵に初めて挑戦し、ますます注目を集めるイケガミさんに、今回の仕事についてお話を聞いた。

 


――映画「竜とそばかすの姫」のキャラクターデザインと、原作小説(角川つばさ文庫版)の挿絵を担当されています。最初にオファーがあったのは、キャラクターデザインと挿絵の仕事のどちらでしょうか? また今回の依頼のきっかけとなった仕事などはありますか?

映画のキャラクターデザインのオファーが先でした。SNSで私のイラストを見たCG制作会社の方からのコンタクトがきっかけとなりました。挿絵のお仕事はその後に細田監督からお声かけを頂きました。

オリジナル作品「いづれ夢のあと」

 

――キャラクターデザインをする際に作品の世界観と、ご自身の絵柄が持つ個性や世界観との刷り合わせなどで苦労したことなどありますか? そのほか、意識した点があれば教えて下さい。

もともとキャラクターっぽい絵も好きでよく描いていました。モブキャラクター達は細かいオーダーもなく、かなり自由にデザインさせて頂けて、刷り合わせでの苦労はほとんどありませんでした。

何体、何十体も、自分の好みの範囲だけでキャラクターを描いている似通ってきてしまうので、途中からはどうやったらその幅が広がるかを考えながら描いていました。

 

――キャラクターデザインの仕事に挑戦してみて、気付いたことはありますか?

お仕事としてキャラクターデザインをしたことがなかったので、こういう絵ももっと描いていいんだ! と励まされました。そして何より、完成した映画で自分の描いたキャラクターが動いているのにとても感動しました。人と何かを作るってこういうことなんだなと。普段は絵を描いて個展で展示するというような単独制作がほとんどで、今回のように長期間チームで制作するお仕事をした事がなかったのでとにかく本当に学ぶことが多かったです。

 

――小説挿絵は映画のワンシーンを切り取るような形で描かれており、普段の制作と異なる点をどう感じましたか?

監督が描かれたコンテを見ながら描き進めていったのですが、人の作品を描かせて頂くのでとても気を遣いました。普段描いている絵でやっていることが通用しなくて、モノクロでどうやって色数を表現しようかとか、漫画的な表現や印刷原稿の制約など新しく覚えることも多かったです。挿絵を描かせて頂いてからクリエイターの方へのリスペクトがますます深まりました。

小説挿絵 ©2021 スタジオ地図
小説挿絵 ©2021 スタジオ地図
小説挿絵 ©2021 スタジオ地図

――今後挑戦していきたいお仕事などありますか?

明確な答えになっていないですが、絵を描くお仕事なら何でもやってみたいです。今回のキャラクターデザインと挿絵、どちらも経験したことのない分野のお仕事で、自分がまだ訪れたことのない場所に足を踏み入れるような緊張と喜びを感じました。

 

<プロフィール>

イケガミヨリユキ/1993年生まれ。画家・イラストレーター。2019年「ボローニャ絵本原画展」入選。作品集に『PETALS』(ブックギャラリーポポタム)がある。

 


『竜とそばかすの姫』(KADOKAWA/角川つばさ文庫)

細田守監督書きおろしの、映画「竜とそばかすの姫」原作小説の児童文庫版。挿絵はイケガミヨリユキさん。

 

『イケガミヨリユキ作品集』(玄光社)

イケガミヨリユキさんの2冊目の作品集。前作品集『PETALS』以降に描いた作品を中心に100点以上を収録。アナログ作品の他、SNSなどで発表したデジタル作品も掲載しています。

 

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