「ちひろ美術館セレクション 2010→2021 日本の絵本展」と「いわさきちひろ やさしさと美しさと」がちひろ美術館・東京にて同時開催中

10年ごとに、時代を代表する絵本を紹介する展覧会を続けているちひろ美術館。3年の延期を経て、その4回目となる「ちひろ美術館セレクション 2010→2021 日本の絵本展」が開催されている。会期は2024年1月14日(日)まで。

tupera tupera 『わくせいキャベジ動物図鑑』(アリス館)より 2016年

東日本大震災から始まり、時代を表す作品も多く生まれた激動の2010年代。同展では、そんな2010年代を彩る傑出した日本の絵本30冊の原画約100点が一堂に会する。

子どもを取り巻く環境が大きく変化していく中で、新しいテーマや表現に挑戦・発信し続けた画家たちの活動は印象深い。

上村亮太 『アネモネ戦争』(BL出版)より 2020年

いまも復興のさなかである震災「3.11」や被災地の「福島」を取り上げた絵本や、命の尊さを問う作品に焦点を当てるほか、コロナ禍の混沌とした数年のなかで、画家たちが絵本に託した希望やいまを生きる子どもたちへのメッセージ、そして絵本表現の新たな可能性に迫る。

また、きくちちきさん、みやこしあきこさん、ミロコマチコさん、ヨシタケシンスケさんといった、次世代を担う作家の作品も紹介される。

ミロコマチコ 『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房)より 2013年

 

同時開催「いわさきちひろ やさしさと美しさと」

いわさきちひろ ゆびきりをする子ども 1966年

いわさきさんが繰り返し描いてきた、身近に咲く草花や四季折々の山川といった自然と子どもたち、そしてやさしさと強さの象徴として描かれたさまざまな母親の姿。同時開催の「いわさきちひろ やさしさと美しさと」では、その作品や言葉から、いわさきさんが絵本や絵に描き出そうとしてきた「やさしさ」や「美しさ」を探る。

いわさきちひろ 麦わら帽子をかぶったおにた『おにたのぼうし』(ポプラ社)より 1969年
いわさきちひろ 少年と母 1970年

「そのやさしい絵本を見たこどもが、大きくなってもわすれずに心のどこかにとどめておいてくれて、何か人生のかなしいときや、絶望的になったときに、その絵本のやさしい世界をちょっとでも思いだして心をなごませてくれたらと思う」

そう語ったいわさきさんがこの世を去ってから、来年で50年になる。いまもいわさきさんの作品が現代に生きる人々の心を捉えるのは、そこに普遍的な価値や想いが込められているからかもしれない。

 

激動の2010年代を彩り、希望を発信し続けた絵本と作家たち、そしていわさきさんが描き続けた身近なものへの眼差しを確かめに、ぜひ会場へ足を運んで欲しい。

 


【「ちひろ美術館セレクション 2010→2021 日本の絵本展」同時開催「いわさきちひろ やさしさと美しさと」】

会期:2023年10月7日(土)~2024年1月14日(日)

開館時間:10:00〜17:00 ※最終入場は閉館の30分前

休館日:毎週月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)、年末年始(1月2日から開館)、冬季休業あり

入場料:大人1,000円、18歳以下・高校生以下無料

会場:ちひろ美術館・東京

住所:〒177-0042 東京都練馬区下石神井4ー7ー2

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