和田誠さんが40年間描き続けた『週刊文春』全表紙が1冊に

2019年10月、惜しまれつつこの世を去ったイラストレーターの和田誠さん。
その没後1年を追悼して、和田さんが描いた『週刊文春』の全表紙を掲載する『表紙はうたう 完全版 和田誠・「週刊文春」のカヴァー・イラストレーション』が、10月7日(水)に発売される。

『週刊文春』の表紙は、誰もが知る和田さんの代表的な仕事だ。初めて担当した1977年5月から2017年7月に2000号を迎えるまで、和田さんは40年という長きにわたって表紙を描き続けた。

同書では、『週刊文春』創刊50周年を記念して2008年に刊行された表紙絵画集『表紙はうたう』に、未掲載分(2008年10月2日号〜2017年7月20日号)を追加。これまでに和田さんが描き上げたすべての表紙を、一挙に見ることが出来る。

和田さんが表紙を担当して初めて描いたエアメールを加えた鳥(画像上・左)は、最後の2000号(画像下・右)で大空に飛び立った。

画集前半では、厳選された表紙原画600枚を掲載。それらが和田さんの手によって、犬、猫、鳥、映画、スポーツ、星座、外国の旅などにカテゴリ分けされ、本人の解説付きで楽しむことが出来る。また後半には、年代順に全表紙とそのタイトルが収録されており、1冊をとおして膨大な仕事を総覧する内容になっている。

和田さんが特に「思い入れが深い」と語る“猫”。画像左は、愛猫のシジミを描いたもの。
表紙の一覧は圧巻。和田さんの多様な作品群は、いつまでも見飽きることがない。

『週刊文春』は、2017年7月以降現在に至るまで、過去の傑作選が再び表紙を飾るアンコール企画を継続している。多くのイラストレーターに多大なる薫陶を与え、いまもなお、作品の中で生き続ける和田さん。その代表作の背景が分かる貴重なアーカイブは、和田誠ファンならずとも永久保存版の1冊だ。

 


 

『表紙はうたう 完全版 和田誠・「週刊文春」のカヴァー・イラストレーション』(文藝春秋)

 

『イラストレーション』 No.226(玄光社)

和田誠さんを70ページにわたって特集。『週刊文春』の表紙をはじめとした代表的な仕事の紹介はもちろん、親交のあった方々からの寄稿、オマージュイラストなど盛りだくさんの内容です。

 

『定本 和田誠 時間旅行』(玄光社)

2000年に刊行された和田誠さんの作品集『時間旅行』をベースに、装丁カテゴリーや制作風景を加え、さらにこの後の20年弱の代表的な仕事を盛り込んだ増補改訂版です。4歳から82歳までの和田誠が見られる、ほかに類を見ないオールタイムベストとも言える1冊。

 

 

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