街で見かけた気になるイラストレーション 第3回 水沢そらさん「アリ・スミス『四季四部作』装画と4巻収納BOX」

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雑誌や書籍、広告、パッケージ、ウェブサイトなど……誰もが暮らしのさまざまな場面でイラストレーションを目にしているのではないでしょうか。本連載では、そんな身の回りにあるイラストレーションの中から特に気になった作品を、イラストレーターのみなさんのコメントと共にご紹介します。第3回目は水沢そらさんが手がけた、アリ・スミス著「四季四部作」の装画と4巻収納BOXです。

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アリ・スミス著「四季四部作」の装画と4巻収納BOX

2016年、イギリスがEU離脱(ブレグジット)を決めた国民投票の直後に原書の刊行が始まったアリ・スミスの「四季四部作(Seasonal Quartet)」。日本では新潮クレスト・ブックスから木原善彦さんの翻訳で2020年に第一作『秋』を刊行し、以来『冬』『春』と続けて発売してきた。

『秋』
『冬』
『春』

そして2022年6月、最終巻となる『夏』が刊行され、「最初のポスト・ブレグジット小説」と話題になった『秋』から、パンデミックの入り口までを描く『夏』まで、季節が円環を描き、四部作は無事完結を迎えた。

『夏』

装画は4作すべてイラストレーターの水沢そらさんが担当。それぞれ、季節や物語に登場するモチーフがちりばめられ、原題のアルファベットを形作っている。分割されたSの文字が目を引く『春』の装画は、この物語のテーマとして「分断」が特に際立っていると感じてのことだそう。どの装画も物語を読み進めながら注目したくなる鮮やかで楽しいデザインだ。

また、完結を記念し、水沢さん描き下ろしの4巻を収納出来る特製BOXが登場。家をモチーフにしたBOXの中で、各作品の登場人物がさまざまな表情を見せている。色鮮やかな黄色が、インテリアとして部屋に彩りを与えてくれそうだ。このBOXは『夏』の帯にある応募券で応募した人の中から抽選でプレゼントされる。装画とBOXのイラストレーションを手がけた水沢さんにお話を伺った。

©︎Shinchosha
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装画を手がけた水沢そらさん

2020年の1月にシリーズ第1作の『秋』をご依頼された時点では、続く『冬』『春』『夏』はそれぞれ別の作家さんがお描きになる予定だったのですが、その時はまさか自分が最終巻まで担当し、また特製BOXまで描かせていただくとは思ってもいませんでした。
今回の箱はイギリスの田舎町、例えばコッツウォルズにあるような雰囲気の家を四季を通して各面ごとに定点観測しているような視点で制作しています。
資料を探しながら同じカントリーハウスでもイギリスとアメリカの違いなどの気付きもあり面白かったです。
装画同様に場面場面でのシーンを挿入している箇所もありますので、四季四部作を読んだ方にはそちらも併せて楽しんでいただけたらうれしいです。(水沢そら)

 

©︎Shinchosha

 

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特製BOXプレゼント応募要項

『夏』の帯の袖に印刷された応募券にてプレゼントBOXの応募が可能。4回の抽選で計400名が当選する。(それぞれの締め切りで100名ずつ)抽選締め切りは残り2回。ぜひお見逃しなく。

第1回  終了

第2回  終了

第3回  2022年10月31日(月)

第4回  2022年11月30日(水)

*それぞれ当日の消印有効

*詳しくは新潮社公式ホームページをご覧ください。

 

〈プロフィール〉

水沢そら/北海道函館市出身。バンタンデザイン研究所卒業後、MJイラストレーションズに学ぶ。書籍装画、挿絵、絵本、音楽ジャケットや広告など、さまざまな分野で活動中。

WEB:http://mizusawasora.com
Twtter:https://twitter.com/Sora_rubyred
Instagram:https://www.instagram.com/doblon

 


『イラストレーション』No.234

『イラストレーション』No.234に掲載されている連載「スイッチ・インタビュー」では、水沢そらさんとデザイナーの尾崎行欧さんの対談をお届けしています。

 

『イラストレーションファイル2022』上巻
『イラストレーションファイル2022』下巻

イラストレーター828人の仕事ファイル『イラストレーションファイル2022』が発売中。上巻には「あ~さ行」の438人、下巻には「た~わ行」の390人を収録しています。下巻の表紙は水沢さんの描き下ろしです。

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