
「コピックアワード2025」で、弊誌編集長・竹内康彦の審査員賞に輝いた陳裕旻さん。受賞作「History ~ Biography of Mankind」は、本棚に騎士と馬が溶け込ませるアイデアと精細な描写が目を引く意欲作だ。長年コピックを使い続けてきた描き手として、画材への思いや制作の背景を聞いた。
なぜコピックアワードに再び挑んだのか
―2017年にコピックアワードでグランプリを獲得しています。2025年に再度挑戦しようと考えたのはなぜでしょうか?
2017年に受賞しましたが、創作に時間制限はないと思っており、再度応募を決めました。いまの若いイラストレーターの作品は自分のような世代にとって、研究する価値が非常にあると感じるので、若いクリエイターにはどんどん挑戦していってほしいです。
―17年のグランプリ受賞後に、(仕事や創作活動において)何か変化はありましたか?
仕事ではマーカーを使った絵の描き方を披露する実演案件が増えました。具体的には、学校で絵を教えたり、展示会場で漫画を実際に描いてみるなどの依頼を受けました。
学生時代から長年使い続けてきたコピック
―画材としてのコピックの魅力はどのような点でしょうか?
コピックは学生時代から使っていました。色鮮やかで彩度が高く、乾燥が速いことが魅力です。また、混色した際の効果や色味、色の持続性がある点も気に入っています。アルコール性のマーカーで、交換可能なペン先がありインクを補充することができるのも評価しています。そういった点からコピックマーカーはアーティストにとって信頼できる最高の画材だと感じています。


作品コンセプトや制作について
―2017年の受賞作品「Invisible」はカメレオンが隠されている騙し絵的なものでした。どのような点に留意して制作したのでしょうか?
「Invisible」は、錯覚を用いた芸術的手法によって創作した作品です。線、色彩、陰影、透視といったテクニックをうまく活用することで、鑑賞者の視線を欺くことを意識しています。それによって立体感や動きが生まれ、現実には起こりえない場面を描くことができました。

―「本棚の中に馬と騎士を隠す」というアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
「図書館」の機能は主に文化と歴史を保存することにあります。「騎士」は歴史の進化と道徳と人格基準を象徴しています。騎士は勇敢で恐れを知らず、栄誉を尊びます。また、弱者を慈悲し、誠実で信用を守るイメージや、謙虚で礼儀正しく忠誠心のあるイメージを持っています。
この2つのモチーフを組み合わせることで、歴史と騎士精神を継承することを描こうとしました。

―描きこみの多い作品ですが、制作過程と期間について教えてください。
この作品は構想から完成まで約3カ月かかりました。まず、すべての本を描き、その後に騎士を本棚に描き入れました。本の影や反射光によって、騎士を引き立つようにしました。
―これまで、写実的な作品を数多く描いていますね。
実のところ写実的な作品はもう主流ではないと感じており、私自身もそこから離れた作品を描いてみたいと思っています。少し肩の力を抜いて作品を描いてみることを追求していきたいと思っています。
これまで影響を受けた世界の絵本作家たち
―影響を受けたイラストレーター、画家がいれば教えてください。
これまでたくさんの画家に影響を受けてきましたが、その多くは絵本作家です。具体的には、Jerry Pinkney、Sergio Martinez、Andrej Dugin & Olga Duginaなどです。
【コピックアワード公式サイト】https://copicaward.com/ja/
「コピックアワード2025」の受賞結果はこちら
【コピック公式サイト】https://copic.jp/







