イラストレーター・げみさんの審査が、2025年8月6日(水)に行われました。応募者は約190名、作品点数はおよそ800点です。審査の様子と結果をレポートします。
透明感のあるタッチで美しい情景を描くげみさんは、これまでに書籍の装画や飲料メーカー、交通機関などさまざまな企業と仕事を行ってきました。主な仕事に、教科書『新しい国語』(東京書籍)、「心のバリアフリー」(内閣府)TV-CM、「お~いお茶」(伊藤園)2024年桜パッケージなどがあります。以前にもコンペの審査員を務めたことはあるそうですが、最初から最後まで原画を見ながら審査をするのは初めてだといいます。全国各地から集まったさまざまな作品を前に、どのように審査を進めていくのでしょうか?
審査会場に到着したげみさん。作品数の多さに驚きながら、まずは会場を歩き回りながら応募作品全体を見ていきます。全体のレベルや作品の傾向を把握した上で審査基準をどう定めるか検討していました。
おおまかな方向性を見定めた後、1次審査が始まります。作者ごとに作品に目をとおし、「残すもの」「残さないもの」に分けていきます。作品を前にしてわずか数秒のうちに判断を下していくげみさん。スピーディーに審査を進めます。1次審査を終えて、3分の2程度の作品が残りました。
続いて2次審査です。先ほどよりも少し時間をかけて「残すもの」と「残さないもの」を決めます。「独りよがりな絵になっていないか」「イラストレーターとしてさまざまな依頼に応えられそうか」などを考えながら審査をしていました。時折作品に顔を近づけ、より詳細に確かめる場面も。2次審査を終えて残ったのは約50名です。
最後に、入選・準入選を決定します。ここでは作品の裏に書かれた応募者のプロフィールにも目をとおします。2次審査までと比べると少し悩む様子が見られました。それまでは和風、コメディ、絵本風など、さまざまなテイストの作品から良いと思った作品を残していたというげみさん。最終的に各テイストの中からどの作品をチョイスするのかを迷っているようです。作品を手に取りながら、慎重に1作品ずつ入選・準入選作品を選出。最後に「最終選考に残った人たち」として誌面に名前が掲載される人も選ばれ、審査は終了しました。
「楽しかったです」と笑顔で審査の感想を語ってくれたげみさん。より多様な作風を選ぶように心がけ、初応募の作品も積極的に選んでいたのが印象的です。第一線で活躍を続けるげみさんの、イラストレーターとしての矜持を感じさせるような丁寧な審査でした。
げみさんの詳しい審査評と気になる入選作品は、2025年10月18日発売の『illustration』No.247に掲載されます。 審査結果は以下のとおりです。
〈入選〉
●さとうさえ(宮城県)●栄元太郎、hagi、Fuming、ミアコ(東京都)●くらたまみ、藤本巧(神奈川県)●トミタマミ(新潟県)●スミタマサタカ(兵庫県)●ウエノメグミ(大分県)
〈準入選〉
●櫻井ゆみ、Hikaru Hatori(千葉県)●時田アリス、ヤノシンタロウ(東京都)●tara、中蔦理恵(神奈川県)
〈最終選考まで残った方々〉冨樫直美(山形県)あいはら小海(埼玉県)ホリ(千葉県)青木鮎美、おふみ、LMN、加藤千歳、kano hirose、小柳祥、せいのみわお、髙瀬彩加、松本こうみ、三上鮎子、やなぎやまさみ(東京都)もち山あやこ(京都府)791(大阪府)omio(兵庫県)