40年以上にわたり、イラストレーターの登竜門として『イラストレーション』で開催されているコンペティション「ザ・チョイス」。毎号異なる1人の審査員が、応募作品の中から優秀作品をチョイスすることが特徴です。年4回の全入選作品は年度賞のノミネート作品となり、年度賞の審査は4人の審査員が一堂に会して、投票制で行われます。これまでに数多くのイラストレーターがザ・チョイスから巣立っています。
ザ・チョイスに入選された方々に、応募してみて感じたことや、入選後についてお聞きするインタビュー連載・第2弾です。第2回に登場するのは、第229回(JUN OSONさんの審査)で入選し、NHKテキスト『やさいの時間』など、雑誌の表紙や装画などで活躍するkigimuraさんです。
(連載のまとめはこちらから)
kigimura

1980年生まれ。神奈川県在住。イラストレーション青山塾イラストレーション科(23期)修了。フォルムと配色にこだわったさまざまなイラストレーションを制作。
https://kigimura.myportfolio.com
Instagram@kigimura
Q1
ザ・チョイスに応募したきっかけを教えてください。
イラストレーション青山塾に通っていたころ、塾で出される課題とは別に自主制作イラストを描き始めたのですが、気づくとその枚数がある程度たまっていました。自信作とまでは言えないけど、なんとなく気に入っている。そんな作品のストックが少しずつ増えていた時期でした。
ザ・チョイスについては昔からよく知っていたものの、自分からは縁遠い存在と思っていました。しかし青山塾で知り合った同期や先輩方が応募していることを知って身近に感じるようになり、応募してみたい気持ちが芽生えていきました。
やがて自分のなかで「いまだ」と思えるタイミングが訪れて、そこから応募し始めた、という感じです。
Q2
ほかのコンペと感じる違いはありますか?
特徴はいくつかありますが、中でも私はとくに年4回の頻度、つまり3ヶ月おきに定期開催される方式がいいと思っています。
コンペに応募すると審査結果やコメントを自分の事として受け取れたり、入選作品と比較をしたりなど、少なからず学びと刺激が得られます。そのような機会をほかのコンペに比べ、短いスパンでリズミカルに提供しているのがザ・チョイス、という認識です。
スパンが短いため、入選を逃しても「つぎつぎ!」と思えるので、その点もいいです。
Q3
ザ・チョイスに入選して変わったことはありますか?
第229回(JUN OSONさんの審査)で入選した作品は、人物イラストのトレーニングとして描いていたシリーズの中のひとつでした。「捕獲作戦」という、とにかく何かを捕まえようとしている人の姿、というテーマだけ定めて取りとめなく描いた連作です。
もともと人物イラストに苦手意識があって長く試行錯誤していたのですが、あるときフッと降りてきて、このような路線ならリラックスして描けるぞ。人物を描くの楽しいぞ。と思えたのがこのシリーズでした。折よくJUN OSONさん審査の回があり、応募することにしました。選んでいただけてとてもうれしかったです。
人物イラストはいまもなお模索中ですが、一歩前進するきっかけをザ・チョイス入選が与えてくださったと思っています。
Q4
ザ・チョイスからつながったお仕事、もしくは最近の印象に残っているお仕事を教えてください。

著者:小林史人 装丁:城所潤
ザ・チョイスの入選を経て、以前より自信をもって人物の表情やポーズに向き合えるようになりました。さ・え・ら書房の『ぼくに友だちがいない理由』(小林史人・著)では、登場人物の個性を踏まえながら自分らしく描くことができて楽しかったです。
Q5
これからザ・チョイスに応募したい人へのアドバイスをお願いします。
私が応募する時は、審査者のことを少しだけ意識して作品を選ぶようにしていました。周波数を合わせようとしすぎると窮屈ですし、逆に何も考えずポーンと出してしまうと得るものが減ってしまいます。新規に描くにしてもストックから選ぶにしても「この人に見てもらうならコレかな」くらいで丁度いいと思っていて、それだけで結果に対する納得感が違ってきます。また、それくらいのほうが継続しやすかった実感もあります。
私が応募した号はどれも思い出の号になっています。結果を待つ間の適度なドキドキや、その号を読み進めるときの気持ちも含めて誌面から得られる情報量がグッと増え、学びや刺激以上のものが残ると思います。
ザ・チョイス
次回の審査員:げみさん(イラストレーター)
決済ページ:https://choice236.peatix.com