「フランセ」や「アフタヌーンティー・リビング」のビジュアルを手がけるイラストレーター・北澤平祐さんの、初の本格画集『The Current 北澤平祐作品集』が8月に玄光社から発売した。
今回はその発売を記念し、北澤さんにインタビュー。イラストレーションの描き方や作品を振り返り、いま改めて思うことなどをお聞きする。
──広告やパッケージ、100冊を超える装画など数多くの仕事を手がけていますが、毎回構成や色使いなどが新鮮です。長くイラストレーターとして活躍するためのアイデアの源や普段から意識していることは何でしょうか?
あまり考えすぎないことでしょうか。色であっても構成であっても考えすぎると、どうしても頭でっかちになってしまい絵が固くなってしまいます。クライアントワークなど、求められているものが明確な場合以外は、色や細かい構成は、実際に描きながら決めることが多いです。
最近は、アイデアも意識的に映画や小説などからインプットを心がけているというよりは、日常生活の中で日々思うこと、自然に吸収しているものがある程度自分の中で溜まった時点で、絵として自然にアウトプットされることが多いのではないかと思います。
──パターンのあるイラストレーションからコラージュ的なものまで描かれていますが、どのようにアイデアを組み立てているのでしょうか? また配色はどの段階で決めているのでしょうか?
上の質問でほぼ答えてしまっていますが、とりあえずどんどん手を動かすようにしています。線を引きながら色を塗りながらも、ある程度絵との距離を保つことを意識しつつ、パズルで遊ぶようにアイデアを組み立てています。ちょっとゲーム感覚というか。
──作品集では表紙を描き下ろしてもらいました。いままでのお仕事に登場したキャラクターがレイアウトされていますが、描く上で意識したことはありますか?
久しぶりに描くキャラクターなども多かったので、変な言い方ですが、ちゃんと似るように、そのキャラクターがちゃんとその子だとわかるように描くのが思いの外難しかったです……。線が1本違うだけでちょっと違った顔になってしまったりとか。あらためて、同じようにキャラクターを何度も何度も描けるマンガ家さんはすごいですね。
──『イラストレーション』No.230の巻頭特集や、今回の作品集で改めてご自身の作品を振りえる機会が多かったかと思います。改めて印象深く残っている作品はどれでしょうか?
やはり一連のフランセのために描かせて頂いた作品でしょうか。絵のタッチも含めあらゆる意味で自身のイラストレーター人生における転換期となった作品群ですので、どの絵を見ても、描いていた時のこと、描いていた場所、思っていたことなどなど、いまでも鮮明に思い出せます。
──これから挑戦したいこと、今後の予定について教えて下さい。
今回の作品集で今までの作品をまとめて頂き、ひとつの区切りがついたので、また全然違った絵も描いていきたいと思っています。名前を書かなかったら自分の絵だと気がつかれないくらいのもの描けたら最高ですね。
きたざわへいすけ/イラストレーター。魚座。アメリカに16年間在住後、帰国、イラストレーターとしての活動を開始。多数の書籍装画から、東京ソラマチ、ココスなどの広告、フランセ、アフタヌーンティー・リビング、花王などの商品パッケージまで国内外の幅広い分野でイラストレーションを提供。
北澤さんがこれまでに個展で発表した作品や書籍の装画など、200点以上の作品を収録しています。カバー、表紙は描き下ろしです。
▼こちらもおすすめ
『イラストレーション』No.230では北澤平祐さんを30ページにわたり特集しています。
▼合わせて読みたい