2020年8月突然この世を去ってしまった装丁家・坂川栄治さんの仕事を振り返る坂川事務所回顧展「フムフムサローネ Vol.3」が、東京のqueue galleryにて5月25日(火)より開催となった。前回の「フムフムサローネ Vol.2 坂川事務所の仕事展① 1987-1997」に続き、1998年〜2008年の主だった仕事が展示される貴重な機会だ。
1994年から6年過ごした表参道を離れ、2000年に広尾の一軒家に移転した坂川事務所は本格的に装丁メインのデザイン事務所となる。そして、1998年〜2008年の間になんと7冊の100万部超ミリオンセラーの装丁を手がけた。特筆すべきは、その7冊のうち半分が児童書、絵本だったことだろう。そうして世に「装丁家」として認知された一方で、この間坂川さんは自身がデザイナーのほかに何者になれるのかを模索し続け、小説、写真集、実用書など多種多様な5冊もの著書を出版した上、装画塾を主宰するなど、ますます精力的に活動の幅を広げている。今回はそんな激動の10年間の仕事を目にすることが出来る。
また、現在この展覧会の図録である『坂川事務所の仕事展① 1987-1997』(写真左:ピンクの表紙)、『坂川事務所の仕事展② 1998-2008』(写真右・黒の表紙)が会場とオンラインショップで購入可能だ。コロナ禍で足を運ぶことが難しい方も、生前のインタビューや膨大な仕事群、周囲の人々の言葉を収めた2冊で800ページ近いボリュームの図録から、坂川さんの並大抵ではない表現に対する情熱や好奇心、チャーミングなお人柄などをたっぷりと知ることができるだろう。
フムフムサローネ Vol.3 坂川事務所の仕事展② 1998−2008
会場:queue gallery
会期:2021年5月25日(火)〜6月17日(木) *火・水・木のみ開廊(5月23日、6月20日のみ日曜日も開廊)
住所:東京都新宿区荒木町11-48 第一太田ビルB02(Google Map)
時間:13:00~19:00
〈閉廊の8月までに、本展を含めて3回の回顧展を開催予定。詳しくはWebサイトをご覧下さい。〉