あの時の表紙は? 『illustration』のバックナンバー紹介 第4回 和田誠さん

『illustration』は、1979年の創刊からイラストレーションにまつわる最先端の情報を発信し続けてきました。そしてその表紙は、いつも各時代を代表するイラストレーターの作品で彩られています。

連載「あの時の表紙は? 『illustration』のバックナンバー紹介」では、200号を超えるバックナンバーのなかから、印象的な表紙をテーマごとにピックアップ。第4回は、イラストレーター、グラフィックデザイナー、エッセイスト、映画監督など多様な顔を持ち、2019年に惜しまれながらこの世を去った和田誠さんの表紙を紹介します。

連載のまとめはこちらから

 


和田さんが過去に表紙を飾ったのは、No.175、No.200、No.226の3回。

2009年1月に発行されたNo.175 では、表現者があるテーマに沿って50を選ぶシリーズ企画の第3弾として、特集〈和田誠が選んだ「音楽を描く」絵50〉が組まれました。

音楽好きの和田さんは、音楽という漠然としたテーマの中ではいくらでも選べてしまうため、楽器が描かれていることを条件とし、古代の壁画や中世の絵画、現代のイラストレーション、さらには1895年のアメリカの小売業者の通信販売カタログまで幅広い50点をコメント付きでピックアップ。セレクトを終えて、音楽のイラストレーションについてお聞きしたインタビューも興味深いです。特集テーマと合わせ、和田さんのイラストレーションがCDジャケットになった表紙デザインがとてもキュートです。

 

2013年12月発行のNo.200では、60ページにわたる和田誠大特集が組まれました。和田さんの膨大な仕事をカテゴリー毎に分け、本人によるコメント付きで紹介。1ヶ月におよぶ仕事場日記や一万字を超えるインタビューを交え、和田さんの「これまでといま」に迫っています。表紙もNo.200限定の和田さんによるレイアウトのスペシャルバージョン。版画の象は和田さんが小学6年生の時の作品です。

背表紙もスペシャルバージョン。

 

2020年6月発行のNo.226は、和田さんの追悼特集号。代表的な仕事の紹介はもちろん、親交のあった方々からの寄稿、和田さんへのオマージュイラストなどを収録。No.193とNo.200に掲載された仕事場日記を再掲する「もう一度、仕事場日記」は和田さんの日常を垣間見ることが出来る貴重な記録となっています。オマージュイラストはウェブ記事としても公開しているので、ぜひチェックしてみてください。

 

長く購読していただいている方は、本棚に眠っている号があるかもしれません。機会があれば、思い出にふけりながら読み返してみてはいかがでしょうか。

 

<プロフィール>

わだまこと/1936年〜2019年。イラストレーター、グラフィックデザイナー。1959年多摩美術大学卒業、ライトパブリシティに入社。1968年からフリー。1977年より『週刊文春』の表紙を担当する。1974年、講談社出版文化賞ブックデザイン部門受賞。1984年、映画「麻雀放浪記」を初監督。現在まで4本の監督作品がある。1989年ブルーリボン賞、1994年菊池寛賞、1997年毎日デザイン賞、2015年日本漫画家協会賞特別賞ほか、受賞多数。出版した著者は200冊を超える。

 


「Backnumber」ページでは、創刊号から最新号に至るまでの、すべての表紙と目次を掲載しています。検索で気になるイラストレーターが特集された号を探すことも出来ます。

👉https://illustration-mag.jp/backnumber

 

▼こちらもおすすめ

和田誠さんへのオマージュイラストレーション(第1回・及川正通さん)

 

『イラストレーション No.226』

和田誠さんを70ページにわたって特集。『週刊文春』の表紙をはじめとした代表的な仕事の紹介はもちろん、親交のあった方々からの寄稿、オマージュイラストなど盛りだくさんの内容です。

 

『定本 和田誠 時間旅行』(玄光社)

2000年に刊行された和田誠さんの作品集『時間旅行』をベースに、装丁カテゴリーや制作風景を加え、さらにこの後の20年弱の代表的な仕事を盛り込んだ増補改訂版です。4歳から82歳までの和田誠が見られる、ほかに類を見ないオールタイムベストとも言える1冊。

 

キーワード


関連記事