『illustration』は、1979年の創刊からイラストレーションにまつわる最先端の情報を発信し続けてきました。そしてその表紙は、いつも各時代を代表するイラストレーターの作品で彩られています。
連載「あの時の表紙は? 『illustration』のバックナンバー紹介」では、200号を超えるバックナンバーのなかから、印象的な表紙をテーマごとにピックアップ。第3回は、イラストレーション界の巨人・宇野亞喜良さんの表紙を紹介します。
連載のまとめはこちらから
宇野さんが過去に本誌の表紙を飾ったのは、No.61、No.73、No.190、そして最新号No.237(2023年2月現在)の4回。
1989年12月発行のNo.61では、特集「宇野亞喜良 偉大なるイノセント」が組まれ、装丁や演劇・個展などのポスター作品を紹介しています。また、イラストレーター、編集者、俳優など32名が宇野さんの現在について300字でコメントを寄せ、宇野さんに対するそれぞれの慕情を綴っています。
1991年12月発行のNo.73では、「170名のイラストレーターが選んだ展覧会ベスト10」と題して、1990年9月〜1991年8月の1年間に最も印象的だったと作家から支持される展覧会を巻頭で特集。その中で、1991年5月20日〜26日にスペースユイで開催された「宇野亞喜良〈ル・シネマ〉」が1位に輝いています。
映画好きの宇野さんが、映画をテーマに会場の空間設計までこだわった個展には、多くのイラストレーターから絶賛するコメントが寄せられています。
2011年7月発行のNo.190は、宇野さんの個人特集。「多分死ぬまで描いて行くと思う」と語る少女のシリーズを紹介するほか、インタビューや宇野さんのアトリエで舞台衣装デザインに密着する企画、タイトなスケジュールをこなす1日に密着した取材も行われました。
そして12年ぶりに表紙を飾ったNo.237では、これまでに手がけた数多くの作品から近年のイラストレーションを中心に紹介しています。宇野さんの作品集『クロニクル』(グラフィック社)『ファンタジー挿絵の世界』(パイ インターナショナル)のデザインを担当したブックデザイナー名久井直子さんとの対談では、2人で手がけてきた多くの仕事を振り返っています。
また、No.193〜No.215の「illustration」ロゴも宇野さんがデザインしたものです。(No.200とNo.212を除く)
黎明期から現在に至るまで、日本のイラストレーションを牽引してきた宇野さん。本誌の表紙を初めて飾った30年前よりずっと以前から、多くの人々を魅了してきたことが分かります。もし本棚に眠っている号がある方は、最新号と併せて読んでみてはいかがでしょうか。
<プロフィール>
うのあきら/1934年名古屋生まれ。 日本デザインセンター、 スタジオ・イルフイルを経てフリー。 日宣美特選、 日宣美会員賞、 講談社出版文化賞さしえ賞、 サンリオ美術賞、 赤い鳥挿絵賞、 日本絵本賞、 全広連日本宣伝賞山名賞、 読売演劇大賞選考委員特別賞等を受賞。 1999年紫綬褒章、 2010年旭日小綬章受章。
「Backnumber」ページでは、創刊号から最新号に至るまでの、すべての表紙と目次を掲載しています。検索で気になるイラストレーターが特集された号を探すことも出来ます。
👉https://illustration-mag.jp/backnumber
1月18日発売の『イラストレーションNo.237』では、それぞれ60年以上のキャリアを誇る、宇野亞喜良さんと田村セツコさんを特集します。