発刊から3週間で2度目の重版が決定した話題作『たまごのはなし』

 

「やあ こんにちは。 わたしはたまご。」

 

2021年2月19日に発刊された絵本作家しおたにまみこさんの初童話『たまごのはなし』(ブロンズ新社)は、ある日突然目覚めた「たまご」が主人公の異色作です。時にぎょっとするほど無邪気で哲学的なたまごと無理やり起こされ迷惑げな思慮深い「マシュマロ」、この2人の何とも言えない距離感や物事に対する温度差がたまりません。2人が初めて体験して感じたこと、考えたことは、くすりと笑ってしまうようなおかしさと共に、不意に世界の真理や永遠の問いが見え隠れして、ドキリとしてしまうことも……。

絵本作家になる以前は背景美術制作会社に勤めていたしおたにさんが描く、ページ毎にころころと表情を変える登場人物たちと精緻な世界は、物語の魅力を幾重にも増幅させてくれます。児童書やヤングアダルト文学はある年齢を過ぎてしまうと接する機会が少なくなってしまうものかもしれませんが、収録された「めを さましたら」、「さんぽ」、「あめのひ」というそれぞれに魅力的な3つの物語を読めばきっとあなたも虜になり、たまごが語る次のお話を心待ちにしてしまうはずです。


『たまごのはなし』

しおたにまみこ作
(株式会社ブロンズ新社)1,100円+税
編集:沖本敦子 装丁:伊藤紗欧里(ガラパゴ)

 


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