毎日を彩る器や作品が並ぶ「鹿児島睦 まいにち」展が東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催中

陶芸作品を中心に、テキスタイル、版画など、さまざまな仕事で注目を集める作家・鹿児島睦さんの初の大規模な巡回展「鹿児島睦 まいにち」展が、東京会場である立川のPLAY! MUSEUMで開催中。会期は2024年1月8日(月・祝)まで。

「鹿児島睦 まいにち」展のための器 2023年 撮影:田附勝

“役に立たないもの、美しいと思わないものを、家に置いてはならない”

この言葉は、イギリスの芸術家であり思想家のウィリアム・モリスが残したもの。その思想はイギリスから世界中に広がり、人々が日々の暮らしに目を向けるひとつのきっかけとなった。

時を越え、九州・福岡で制作に日々励む鹿児島さん。鹿児島さんは、造形作家だった祖父の影響を受け、美術大学で陶芸を専攻。インテリア会社への勤務を経て、2002年に独立した。器は使うものであり、みるものでもあると考えて色や形を決め、草花や生き物をモチーフにした絵皿を多く制作している。線彫りや蝋抜きなどの技法を用い、器それぞれの形に合わせて描かれるグラフィカルな草花や生き物たちは、使う者、見る者の心を掴むものばかり。

「鹿児島睦 まいにち」展のための器 2023年
「鹿児島睦 まいにち」展のための器 2023年

そんなさまざまな器約200点が、「あさごはん」「ひるごはん」「よるごはん」のための大きなテーブルや壁面に並ぶほか、ファッション、インテリア、フードなど、さまざまな領域でのコラボレーションから生まれた約100点に及ぶプロダクツや作品を、日々の暮らしのシチュエーションになぞらえて紹介していく。

布地への染めならではの鮮やかな色合いが美しい「一澤信三郎帆布」とのコラボレーションや、職人が1点ずつペイントを施す花器シリーズ「En Liten Vän」など、器とはまた違った魅力に溢れる作品たちも見逃せない。

鹿児島睦×一澤信三郎帆布「花:きいろ」2021年
Keramikstudion×鹿児島睦 フラワーベース「En Liten Vän」2018年

また、作家・梨木香歩さんとの共作絵本ににまつわる言葉と器や、鹿児島さんの日々の制作の様子、アトリエに飾られたアイテムなどが展示されるほか、エントランスでは鹿児島さんがペイントした壁画が観客を出迎えるなど、見どころたくさん。

絵本『蛇の棲む水たまり』
アトリエ 撮影:田附勝

グッズコーナーではシンプルでありながら趣深い「くまのランプ」やカラフルな「まいにちキャンディー」、ステーショナリーなど、心躍るラインナップが出迎える。また、毎回好評を博すカフェコーナーでは、オリジナルの器をイメージした「黒い器のイカ墨リゾット」をはじめ、鹿児島さんの作品の世界観を表すメニューが揃う。一部のメニューは、描き下ろしの絵柄を用いたランチョンマット付き。

「鹿児島睦 まいにち」展 オリジナルグッズ
PLAY! CAFE「鹿児島睦 まいにち」展 オリジナルメニュー 黒い器のイカ墨リゾット(サラダ付き) 1,680円(税込)

———「様々なアルバイトやサラリーマン生活を経験しましたが、作陶やデザインも私にとってはどれも同じ毎日の仕事でした。今も全く変わらない毎日が続いています」(同展に寄せた鹿児島さんのコメント)

大人も子供も楽しめること間違いなしの同展。作品をとおして、制作と暮らしが深く結び付く鹿児島さんの「まいにち」を覗きに、ぜひ訪れてみて欲しい。

 

アトリエの鹿児島睦 撮影:田附勝

プロフィール

鹿児島睦(かごしま・まこと)/陶芸家・アーティスト。1967年福岡県生まれ。美術大学卒業後、インテリア会社に勤務しディスプレイやマネージメントを担当。2002年より福岡市内にある自身のアトリエにて陶器やファブリック、版画などを中心に制作。日本国内のみならず、L.A.、台北、ロンドンなどで個展を開催、近年では世界中にファンが広がっている。作品制作のほか、国内外のブランドへ図案の提供も行っており、陶器にとどまらずファブリックやペーパーなどさまざまなプロダクトを発表。また、国際的なアートプロジェクトへの参加や、空間への壁画制作など活動の幅は多岐に渡る。

 


【「鹿児島睦 まいにち」展】

会期:2023年10月7日(土)~2024年1月8日(月・祝)

開館時間:10:00〜17:00(土日祝は18:00まで) ※最終入場は閉館の30分前

休館日:会期中無休 ※年末年始を除く

入場料:一般1,800円、 大学生1,200円、高校生1,000円、中・小学生600円

会場:PLAY! MUSEUM

住所:〒190-0014 東京都立川市緑町3−1 GREENSPRING W3棟2F


関連記事