「かこさとしの世界展 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!」が八王子市夢美術館で開催中

『だるまちゃんとかみなりちゃん』 1968年 福音館書店 ©Satoshi KAKO ©Kako Research Institute Ltd. 2019

東京・八王子市夢美術館で、2020年に会期途中で中止となった特別展「かこさとしの世界展 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!」が再び開催されている。会期は2022年1月23日(日)まで。

2018年、92歳でこの世を去った絵本作家のかこさとしさん。32歳の時に最初の絵本『だむのおじさんたち』(1959年/福音館書店)を出版して以来、「だるまちゃん」シリーズ(福音館書店)、「からすのパンやさん」シリーズ(偕成社)といった物語絵本から『かわ』、『地球』、『海』(いずれも福音館書店)といった科学絵本、絵画や歴史、健康にいたるまで、その多岐にわたる著作は生涯600冊を超え、現在でも子どもたちをはじめ多くの人々に親しまれている。

『だむのおじさんたち』 1959年 福音館書店 ©Satoshi KAKO ©Kako Research Institute Ltd. 2019
『かわ』 1962年 福音館書店 ©Satoshi KAKO ©Kako Research Institute Ltd. 2019

かこさんの絵本の原動力には「子どもたちに自らの未来を切り開く力を持ってほしい」という願いがある。青春時代に戦争を経験し、戦後自らの生きる意味を失ったこともあるかこさんは、児童演劇へ関わる機会を得て子どもたちとふれあい、これからを生きる子どもたちの役に立ちたいと、生きる希望を見出す。そして、ボランティア福祉活動(セツルメント活動)として子ども会に参加し、紙芝居や幻灯などの創作を始めたことが、後の絵本制作で活かされることになった。

『だるまちゃんとかみなりちゃん』下絵 1968年 福音館書店 ©Satoshi KAKO ©Kako Research Institute Ltd. 2019

同展では、代表作をはじめ、少年時代に描いたスケッチや絵日記、子ども会での紙芝居、これまで発表されることのなかった絵本の原画や下絵なども公開。八王子ゆかりの医師・肥沼信次を描いた『ドイツ人に敬愛された医師・肥沼信次』(2003年/瑞雲舎)も交え、貴重な作品や資料が一堂に会する。

その創作の軌跡をたどりながら、かこさんがどんな想いで子どもたちと向き合い、絵を描き、絵本を作ってきたのかを紐解く。発見とときめき、驚きと喜びに満ちたかこさんの世界を楽しんで欲しい。

からすのパンやさん一家 2011年頃 ©Satoshi KAKO ©Kako Research Institute Ltd. 2019
『からすのパンやさん』 1973年 偕成社 ©Satoshi KAKO ©Kako Research Institute Ltd. 2019

 

<プロフィール>

かこさとし(加古里子)/1926年、現在の福井県越前市に生まれる。東京大学工学部応用化学科卒業。工学博士。技術士(化学)。児童文化の研究者でもあり、出版を中心に幅広く活躍した。作品は「だるまちゃん」シリーズ、『からすのパンやさん』、『はははのはなし』(福音館書店)、『うつくしい絵』(偕成社)、『とこちゃんはどこ』(福音館書店)、『伝承遊び考』(小鳩書店)など600点余。2008年菊池寛賞受賞、2009年日本化学学会より、特別功労賞を受賞。2018年、逝去。享年92歳。

 


かこさとしの世界展 だるまちゃんもからすのパンやさんも最終合!

会期: 2021年12月3日(金)~2022年1月23日(日)

休館: 月曜日(祝休日の場合は開館、翌火曜日が休館)・12月29日(水)〜1月3日(月)

時間: 10:00~19:00(入館は18:30まで)

会場:八王子市夢美術館

住所: 〒192-0071 東京都八王子市八日町8-1ビュータワー八王子2F

観覧料:一般600円、学生(高校生以上)・65歳以上:300円、中学生以下無料

公式Webサイト:https://yumebi.com

 


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