ブックデザイナーの坂川朱音さんによる審査が、2025年2月6日(水)に行われました。応募者は約230名、作品点数はおよそ900点です。審査の様子と結果をレポートします。
坂川朱音さんは児童書を中心に幅広いジャンルの書籍の装丁を手がけてきました。その仕事の数々を見ていくと、『クララとお日さま』(カズオ・イシグロ 著 土屋政雄 訳/早川書房/ill:福田利之)、『フリースタイル言語学』(川原繁人 著/大和書房/ill:fancomi)など、イラストレーションの魅力が光るデザインがたくさん。ちなみに、お父様は2003年に第128回の審査員を務めた装幀家の坂川栄治さんです。チョイス史上初めて親子2代にわたって審査を担当していただくことになりました。
20代から70代まで幅広い世代の作品が集まった今回のザ・チョイス。画材も作風もさまざまな900点の中から、どのような作品が選ばれたのでしょうか?
早速1次審査がスタートします。
1次審査では約230名の作品すべてに目にとおし、「2次審査に残すもの」と「残さないもの」に分類します。今回は1人で5作品を応募してくださった方がいつも以上に多い印象です。同じ作者の作品が並んだ時の統一感も気にしながら審査が行われました。ここではタイトルや画材など作品の背景はあまり気にせず、純粋に絵を見た時に感じたものを大切にしながら判断を下しているようです。
坂川さんは、日頃からイラストレーターの情報をリストアップして集めているそう。SNSで気になる人物を見つけると、仕事を依頼することを想像しながら作風などをメモしてまとめているのだそうです。今回のチョイスでも、仕事をイメージしながら真剣に審査をしていました。
1次審査を終えて残ったのは約150名。点数にしておよそ600点です。しばし小休止を挟み、再び作品と向き合う準備を整えます。
そして、2次審査がスタート。まずは「確実に残す」「残さない」、そして「保留」の3つに分けます。「なるべく残してあげたいんです」と坂川さん。作品裏に記載されたタイトル、使用画材、応募回数にも目をとおしながら、眼の前の作品とその背景とを丁寧に見極めていました。
「確実に残す」「保留」を合わせて残ったのは約70名。そこから1人1作品ずつをピックアップして会場いっぱいに並べ、最終選考に残す作品を決定します。会場を何度も歩き周りながら慎重に作品を選び、2次審査が終了しました。
いよいよ最終審査です。36作品の中から、入選10名と準入選6名をチョイスします。
作品をじっくりと見つめながら悩んでいる様子の坂川さん。熟考の末「入選」「準入選」の札を置いた後、改めてチョイスする作品も選びなおし、最終審査を終えました。
イラストレーションへの優しくも鋭い眼差しを感じた坂川朱音さんのザ・チョイス。詳しい審査と、気になる入選作品は、次号2025年4月17日(木)発売『illustration』No.246号に掲載されます。審査結果は以下のとおりです。
<入選>
●吉田莉土(埼玉県)●タワタリナツキ、藤本巧、森サヤカ(神奈川県)●SAITO KANAE、四宮愛、高橋彩和、Plastulo、マコイ(東京都)●MAKO(京都府)
<準入選>
●CHIZURI(埼玉県)●東久世、菅原さこ、せいのみわお(東京都)●YASUDA Marcy(神奈川県)●とおちかあきこ(香川県)
<最終選考まで残った方々>
藤かのね(千葉県) あっぴ、いのうえはるな、えだようこ、cactas_、k/kn、ゴピール、shouko shimodaira、ヌイピク、hinaco(東京都)稲川コア、佐久間亮、史於、西野水穂、ピンクスキー(神奈川県)こにしともよ、naruhiko(大阪府)石川七海(広島県)沖野愛(愛媛県)佐伯翼(鹿児島県)