髪型はキャラクターの個性を作る上でとても重要な要素です。髪の長さやカットの仕方はもちろん、毛を結んだりカールをつけたりしてスタイリングすることで印象がガラリと変わります。
本記事では、7月に刊行された『キャラクターデザインのための髪作画』(玄光社)から一部を抜粋し、魅力的な髪型のイラストを描くための、ヘアメイクアーティストのアレンジテクニックとイラストレーターの作画テクニックを合わせてご紹介します。
第1回のテーマは「髪のセクションを理解しよう」です。
(全5回・連載のまとめはこちらから)
髪のセクションを理解しよう
「セクション」は、頭部をヘアスタイルの役割ごとに分けた範囲です。セクションごとに髪の長さを変えたり、カールをつけたりします。
髪型の基本をつくる3つのセクション
セクションは厳密に決まっているわけではありませんが、基本的には「フロント」「サイド」「バック」の3種類に分けられます。また、髪型に関係する部位として、トップ、えり足、はちなどがあります。
フロント
頭部の生え際から生えている髪の範囲。前髪にあたる。幅や長さ、毛量、カットラインなどで顔まわりの印象に大きく影響するセクション。
サイド
頭部の側面から生えている髪の範囲。横髪にあたる。ボリュームやカットラインなどで、髪全体のシルエットを決めるセクション。
バック
頭部の耳よりも後方から生えている髪の範囲。後ろ髪にあたる。髪全体の長さや毛先の向きにかかわるセクション。
トップ(頭頂部)
頭頂部またはその周辺の範囲。
はち
頭まわりの張り出している部分。
えり足
区部の後ろと頭の境目の範囲。うなじの周辺。
髪の奥行きをつくる3つのセクション
オーバー
頭部の上側から生えている髪の範囲。外側の髪の部分。アンダーの髪に覆い被さっているイメージ。
ミドル
頭部の中間あたりに生えている髪の範囲。オーバーとアンダーの間。より複雑な髪型をつくるときに使用する。
アンダー
頭部の下側から生えている髪の範囲。内側の髪の部分。オーバーとミドルの下に潜っているイメージ。
「オーバー」と「アンダー」はハーフアップの髪型をつくるとわかりやすい。すくいとって結ぶ外側の髪が「オーバー」、内側にそのまま残す髪が「アンダー」になる。
髪の外側と内側とで長さを分けるカット
奥行きをつける方法に、髪の外側と内側の長さを変えて段差をつけるテクニックがあります。「ワンレングス」「グラデーション」「レイヤー」の3つを使い分けましょう。
※イラストはわかりやすいように誇張しています。
ワンレングス
外側と内側の長さが均一。オーバーが全体を覆っているため、おさまりがよく自然な印象になるのが特徴。
グラデーション
外側と内側の髪の段差の幅が狭く、密で細かくなっている。ふんわりと立体感のある印象。
レイヤー
外側と内側の髪の段差がはっきりあり、髪に動きをつけたり、ボリュームを増やして見せることができる。
『キャラクターデザインのための髪作画』(玄光社)
プロが教える基本的な髪型の構造や髪の描き方など、ヘアメイクと作画の両方の基礎知識を身につけられます。キャラに個性を与えるヘアレシピやアレンジも豊富に収録しています。