描いて伝える、描いて楽しむ 「自然史のイラストレーション」展が大阪・長居の大阪市立自然史博物館で開催中

博物図譜や細密画、スケッチに展覧会ポスターまで、自然史にまつわる多様なイラストレーションを展示する「自然史のイラストレーション」が、大阪・長居の大阪市立自然史博物館で開幕した。会期は5月26日(日)まで。

スマートフォンが普及し、多くの人がいつでも手軽に写真を撮ることが出来るようになった昨今。「観察」や「記録」と聞くと、写真を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。しかし、描き手によって必要な情報が取捨選択されるイラストレーションは、学問における資料としてはもちろん、自然史を理解し楽しむことにおいて、長きにわたり大きな役割を果たしてきた。

同展では、さまざまな目的のために描かれ、時代もジャンルも飛び越えて集められた自然史にまつわるイラストレーションを幅広く展示する。ペリーの航海記に描かれた日本の生き物たちや、図鑑や文献ではなかなか見ることが出来ない博物図譜の下書き、さまざまな野草の細密画や、新種記載に用いられた松ぼっくりの化石の図、潮の満ち引きを描いた絵本など……。学術的な図版として用いられたものから普及のための資料やミュージアムグッズ、そして個人の観察スケッチまで、多岐にわたる作品を見ることが出来る。

『みちては ひいて』澤口たまみ 文 山口哲司 絵 (福音館書店/ちいさなかがくのとも 2023年2月号)

また、展覧会の開催に合わせ、近隣のカフェや宿泊施設では、自然史のイラストレーションに着想を得た「エディブルフラワー(食べられるお花)」を使用したプレートや、真っ赤な椿の花をイメージしたドリンクなど、爽やかで春らしいコラボメニューが楽しめる。チケット提示割引を実施している施設もあるので、展覧会を見た後には近くのお店でゆっくりと過ごしてみてはいかがだろうか。

そして、会期中には担当学芸員によるオープンセミナーやギャラリートーク、講師を迎えての講演会も開催される。一部はYouTubeチャンネルでのライブ・見逃し配信が行われるので、気になるけれど遠くて参加が難しい方や時間の都合が付けられない方でも、気になった回を気軽に聴講することが出来る。

写真がきわめて身近になったいまだからこそ改めて見えてくる、絵や図で描くことの面白さ・豊かさをぜひ感じて欲しい。

 


イベント情報

◎講演会「自然史の描き手たちー明治期の画工について」

配信はこちら(ライブ配信のみ)

講師:藏田愛子さん(東京大学大学院人文社会系研究科・文化資源学研究専攻助教)

日時:4月28日(日) 13:00〜14:30(開場は12:30)

会場:大阪市立自然史博物館 講堂

定員:先着170名(講堂での聴講)

参加費:無料(入館料は別途)

 

◎オープンセミナー

「植物のイラストレーションを楽しむ」(3月)

見逃し配信はこちら(6月30日(日)まで)

講師:横川昌史学芸員、長谷川匡弘学芸員(共に植物研究室)

日時:3月16日(土)13:00〜15:00 終了

 

「補い合う標本と図版」(5月)

配信はこちら(ライブ・見逃し配信)

講師:佐久間大輔学芸員(植物研究室)

日時:5月18日(土)13:00〜15:00(開場は12:30)

会場:大阪市立自然史博物館 講堂

定員:先着170名(講堂での聴講)

参加費:無料(入館料は別途)

 


【「自然史のイラストレーション」展】

特設サイト

会期:2024年2月23日(金・祝)~2024年5月26日(日)

会場:大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール

住所:〒546-0034 大阪府大阪市住吉区長居公園1-23 長居公園 花と緑と自然の情報センター2F

休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)

時間:9:30〜17:00 (入館は16:30まで)

観覧料:大人 500円、大学生・高校生 300円

※期間内特別展フリーパスは大人 1,000円、大学生・高校生 600円

※本館(常設展)とのセット券は、大人 700円、大学生・高校生 400円(セット券の購入はこちら


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