【展覧会レポート】「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」がPLAY! MUSEUMスタート!

デザイナー、アートディレクター、絵本作家堀内誠一さんの展覧会「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」が立川・PLAY! MUSEUMでスタートした。会期は4月6日(日)まで。

 

雑誌『anan』や『BRUTUS』(共に平凡出版、現・マガジンハウス)のアートディレクション、絵本『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)の絵で知られる堀内さん。54歳という若さでこの世を去るまでに、多岐にわたる仕事を手がけた。

本展ではひとつの展覧会を「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」という「F」を頭文字とした3つのセクションで構成。セクションごとに、有山達也さん、設計事務所imaの小林恭さん・マナさん、三宅瑠人さん・岡崎由佳さんの各組が展示空間をデザインした、3つの個性的な堀内誠一展を同時に体験できる。

 

1. 「FASHION」展

「anan」6号 1970年 ©️マガジンハウス

堀内さんといえばアートディレクター、グラフィックデザイナーとしての仕事を思い浮かべる人が多いだろう。「FASHION」展では、その膨大な仕事の中から、創刊から49号までを手がけたファッション雑誌『anan』にフォーカスを当てているファッションを装いや流行だけに留めず、音楽や食、旅行やライフスタイルなど、さまざまなカルチャーをビビッドな紙面で伝えるという当時「革命的」だった『anan』の雑誌作りを知ることができるものだ。空間デザインは有山達也さんが担当している。

入って右の壁には、創刊1周年記念号(26号)の全ページを20メートルの長さにわたってずらりと展示。パッと目を引くカラフルで印象的なページのほか、当時の特集や広告、雑誌の全体の構成にもご注目。文章もぜひ読んでみてほしい。

「anan」2号 1970年©️マガジンハウス

反対側の壁面では、堀内さんが手がけた49冊を「身にまとう」「脱ぐ」「リズムをとる」など8つのキーワードに解体して再構成。いかにもファッション風というページは意外と少なく、映画のワンシーンのような情景的な見せ方が多いことが印象的だ。

 

2. 「FANTASY」展

堀内さんは、物語や世界の民話、科学絵本など多岐にわたる主題を、異なる画風、画材、技法で描き分け、生涯に70冊を超える絵本を残した。そんな堀内さんが最も大切にしていたテーマの一つが「ファンタジー」だ。絵を見る楽しさや空想する面白さを全身で味わうための空間を、設計事務所imaの小林恭さんとマナさんが手がけた。

「FANTASY」展へ進むには、ぐるぐると回る通路を通る。そこには壁面いっぱいの大きな絵本のイラストレーションや、映像、絵本原画が。布や小さな穴を潜り抜けながら進むと、まるで自分が小さくなって、堀内さんの絵本の世界を冒険をしているよう。「この先には何が待っているだろう?」と好奇心をくすぐられながら先を進むと、大広場の中央で、3メートル以上の大きな「ぐるんぱ」が出迎えてくれる。ぜひ小人になった気分で、堀内さんが描いた9つの絵本作品を楽しんでほしい。

また2箇所ある本棚のコーナーでは、堀内さんの著作のほか、堀内さんが愛した国内外の名作絵本など、約100点の作品を自由に読むことができる。

 

3. 「FUTURE」展

(クロワッサン表紙のレイアウト)
(「パリからの手紙」のためのイラストanan5号)

堀内さんは、雑誌や絵本だけでなく、絵画やリトグラフ、イラストレーション、地図、写真、ポスターや装丁のデザイン、旅行記やエッセイ、友人に宛てた絵手紙など、到底1人の仕事とは思えないほどの幅広い作品を残している。

「FUTURE」展では、生前堀内さんと交流のあった方や、堀内さんから影響を受けた方100名がピックアップした好きな作品を、コメントと共に時系列順に紹介。同じ時代にさまざまなジャンルの仕事を並行して手がけていたことがよく分かり、改めて堀内さんの多才さを実感する。その幅広い仕事は、私たちに新しい創造を生み出すヒントを与えてくれるだろう。黄色と水色のコントラストが目を引く空間デザインは三宅瑠人さん、岡崎由佳さんが担当した。

参加者の顔ぶれ:秋川リサ(俳優)、鹿児島睦(陶芸家)、佐野史郎(俳優、映画監督)、スズキコージ(絵本作家)、都築響一(編集者)、名久井直子(ブックデザイナー)、松浦弥太郎(エッセイスト)ほか。

 

堀内さんが手がけた仕事や作品からはどれも「生きる喜び」が伝わってくる。それは『anan』での女性の生きる喜びを解放した雑誌作りや、「ファンタジーのおもしろさ」を大切にする絵本作りの姿勢からも感じ取れる。
同展に携わったクリエイターたちは、口を揃えて「それぞれの展示を1時間ずつ、3時間とプラス1時間くらいかけてじっくりと見てほしい」と語る。ぜひたっぷりと時間をかけて各セクションを味わい、堀内さんが残してくれた未来への希望を受け取ってほしい。

 


「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」

会場:PLAY! MUSEUM

〒190-0014 東京都立川市緑町3−1 GREENSPRINGS W3棟 2F

TEL:042-518-9625

会期:2025年1月22日(水)~2025年4月6日(日)

休館日:2025年2月16日(日)

会館時間:10:00〜17:00 *土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで

入場料:一般1,800円、大学生1,200円、高校生1,000円、中・小学生600円

当日券で入場できます。土日祝および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券(オンラインチケット)を販売します。

 

割引制度(併用不可)

①[立川割]一般 1,200円 / 大学生700円 / 高校生600円 / 中学生400円 / 小学生以下無料

*立川市在住・在学を確認できる免許証、学生証等をご提示ください

②[障害者割引]障害者手帳をご提示の方とその介添人1名は半額

③[相互割引]「一般」で入場の方は、同日PLAY! PARK を200円引きで利用できます

チケット情報に関してはこちらをご覧ください

 

公式Webサイト:https://play2020.jp/article/seiichi_horiuchi

 


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