キャラクターデザインのための髪作画 (第5回:メイキング -ハイ・ツインテール-)

髪型はキャラクターの個性を作る上でとても重要な要素です。髪の長さやカットの仕方はもちろん、毛を結んだりカールをつけたりしてスタイリングすることで印象がガラリと変わります。

本記事では、7月に刊行された『キャラクターデザインのための髪作画』(玄光社)から一部を抜粋し、魅力的な髪型のイラストを描くための、ヘアメイクアーティストのアレンジテクニックとイラストレーターの作画テクニックを合わせてご紹介します。

第5回のテーマは「メイキング -ハイ・ツインテール-」です。

(全5回・連載のまとめはこちらから)

 

ふわっとおしゃれなラビットスタイル

強いカールがついたパーマ状の髪を、耳の少し上の位置でゆるく結んだツインテール結んだ髪にボリュームがあるため、顔まわりはスッキリに。後れ毛を出すとボサッとした印象になりので注意。

 

point:短い前髪であどけない印象に

前髪はまゆ上の長さにし、センターーパートに分けてワンカールをつける。前髪が短いので額が広くなり、顔のパーツの重心が下がって幼く見える。そのため、あどけなくて元気な雰囲気に仕上がる。

 

〈メイキング〉ラフ〜線画 [Photoshop CC 2020]

1. アタリ

ヘアスタイルに合わせて構図を決める。元気で活発な印象を出すため、目を大きく愛らしくし、表情豊かに。

 

2. ラフ①

アタリをもとに線を整える。ピョンピョン跳ねた髪型のため、毛の質感がかたくならないように勢いをつける。

3. ラフ②

オレンジをテーマに、ベースカラーを仮置きする。髪のシルエットを見直しつつ、全体のバランスを調整する。

4. 線画

ラフをもとに前髪の線画を描く。毛束の幅をばらけさせるのを意識しながら、ひたいにかかる部分に隙間感をつくる。

5. 線画完成

結んだ髪のアウトラインは丁寧にとりつつ、内側の毛流れや毛先はラフな線で描き、モフッと感を出す。

 

やわらかな髪質を意識して描く。毛先のハネの大小を極端にして混ぜることで、メリハリをつける。

 

〈メイキング〉着彩〜完成

1. 下塗り

線画にレイヤーを重ねる。仮置きした色をもとに髪の範囲内を塗りつぶして下塗りをする。

2. 影を置く

ベースの色の明度を下げ、彩度を上げて調整し、不透明度70%くらいに設定した太めのペンで影をざっくり置く。

3. 光を置く

顔の立体感を意識し、光の球体を置くイメージでハイライトを入れる。結んだ髪にもポンポンと置いていく。

4. 塗り込む①

筆のタッチを残しながら、髪を塗り込んでいく。結んだ先には毛束の線がないのでしっかりと毛束感をつくる。

結んだ髪の部分は、色の塊で毛を描くイメージ。線画に頼らずに立体感を出していく。

5. 塗り込む②

顔まわりに寒色(瞳の色をベースに調整)で影を入れて、メリハリをつける。なじませず、ポップな印象にする。

6. 線画を整える

浮いている線の近くの色をとり、不透明度70%くらいのペンで重ね、線画をなじませる。陰影の強弱を足す。

7. 毛束を追加

毛束を少し追加して、クルクル感を強調する。前髪や生えぎわを、肌の色のエアブラシでなじませていく。

8. 着色完成

青で塗りつぶしたレイヤーにオーバーレイをかけ、不透明度15%くらいにして重ねる。

 

そのほかのハイ・ツインテールアレンジ

タイト スタイル

タイトに結んだツインテール。前髪はセンターパートで分け、サイドの髪や後れ毛もキッチリまとめる。毛流れはストレートを意識してタイト感を活かす。

 

縦ロール スタイル

結んだ毛先をリバースのスパイラル巻きにしたツインテール。前髪は目ギリギリの長さのパッツンにし、こめかみの髪は顔のりんかくに沿わせて小顔効果を狙う。

姫カット スタイル

結んだ毛先を外巻きワンカールにしたツインテール。前髪は目ギリギリで重めのパッツンにし、前髪の横に姫カットをつくることでロリータ風の仕上がりに。

 


『キャラクターデザインのための髪作画』(玄光社)

プロが教える基本的な髪型の構造や髪の描き方など、ヘアメイクと作画の両方の基礎知識を身につけられます。キャラに個性を与えるヘアレシピやアレンジも豊富に収録しています。


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