イラストレーター・エッセイスト・漫画家の五月女ケイ子さんの審査が、2025年5月14日(水)に行われました。応募者は約250名、作品点数はおよそ1000点です。審査の様子と結果をレポートします。
一度見たら忘れられない、ユーモラスで強いインパクトのある作風で知られる五月女ケイ子さん。イラストレーターの枠にとどまらず、エッセイや漫画など多岐にわたる分野で活躍し、国内外で人気を集めています。
これまでにもTIS公募などをはじめ、さまざまなコンペで審査員を務めてきた五月女さんですが、1人きりで審査を行うのは初めてのこと。今回のザ・チョイスのために、全国からたくさんの作品が集まりました。五月女さんはどのように審査を進めたのでしょうか。
まず1次審査では、1000点すべてに目をとおすことから始まりました。作品を1点ずつ確認し、「残すもの」と「残さないもの」とに振り分けていきます。「タイトルが面白いと、残したくなるんです」と語る五月女さん。判断に迷った際には、作品裏に貼られた応募票の作品タイトルに目を向け、制作意図を読み取る場面も見られました。一見すると意図が伝わりにくい抽象的な作品や、技術が少し未熟に思えるものであっても、タイトルの面白さが作品の魅力を引き立てることがあるといいます。1次審査を終えて約半数となる500点が残りました。2次審査へ進んだのは約120名です。
続いて行われた2次審査では、作品1点ずつをより丁寧に見ていきます。「悩みます」と少し困った表情を見せる五月女さん。会場いっぱいに作品を並べ、時には配置を入れ替えながら、じっくりと見比べる様子が印象的でした。選考にあたっては、テイストが似通った作品を複数選んでしまわないよう、全体のバランスにも気を配りながら慎重に判断を重ねていきました。2次審査を通過したのは約150点。40名の応募者が最終選考へと進みました。
いよいよ最終審査がスタートします。ここでは入選作品10点、準入選作品6点を選出します。今回の審査で五月女さんが最も悩んでいたのは、入選作品の決定でした。候補として挙がった約12点の中からどの作品を選ぶのか。何度も作品を入れ替えながらじっくりと検討していきます。最終的には、すべての作品に「入選」「準入選」の札が置かれ、無事に審査が終了しました。
審査は終始和やかな雰囲気の中で進められ、最後に「楽しかったです」と笑顔で振り返った五月女さん。選出にはいたらなかった作品にも「この技法、私も試してみたい」「面白いですね」などとコメントを残す場面が多く見られ、1点1点の作品と真摯に向き合う姿勢がうかがえました。
最終的な選出の基準について尋ねると、「上手さだけではなく、これからの可能性を感じさせてくれる方を選びました」と教えてくれました。
五月女さんの詳しい審査評と気になる入選作品は、2025年7月17日発売の『illustration』No.247に掲載されます。 審査結果は、以下のとおりです。
〈入選〉
●ハラケイスケ(秋田県)●四宮愛、宝井ちなみ、加藤由、kame湯(東京都)●芙蓉、swtiih green、
タワタリナツキ(神奈川県)●のなかあやみ(静岡県)●DORY(滋賀県)
〈準入選〉
●AKIKO AKAZAWA、kamikuri、KOTOKO、飯田ダダ、みなみみはる(東京都)●石川七海(広島県)
〈最終選考まで残った方々〉うしさん、吉田莉土(埼玉県)いのうえはるな、イオリ、hiraco、久保まゆこ、Karin Nogami、Ann O、Kemanoya、muppi、Plastulo、ヌイピク、オオノトモミ、小林ひな(東京都)さいがゆずり、史於、水嶋みず(神奈川県)カニコ(愛知県)サチ31(滋賀県)もち山あやこ(京都府)まるお(奈良県)マルミミネコ(岡山県)ナゴミ、acco、(広島県)