第237回ザ・チョイス サイトヲヒデユキさんの審査レポート

グラフィックデザイナー・サイトヲヒデユキさんの審査が、2025年10月31日(木)に行われました。応募者は約290名、作品点数はおよそ1000点です。審査の様子と結果をレポートします。

 サイトヲさんが手がけてきた書籍は、どれも美しい佇まいのものばかり。おもな仕事に、『ripples』ミナ ペルホネン 著(RIZZOLI NEW YORK)、『ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ』ジョゼフ・コーネル 著(フィルムアート社)などがあります。これまでには絵本や作品集で描き手ともタッグを組んできましたが、意外にもイラストレーションのコンペで審査員を務めるのは今回が初めてなのだそう。サイトヲさんの前に、全国からたくさんの作品が集まりました。

早速審査がスタート。1次審査では290名の応募作品すべてに目をとおし、2次審査に「残す」か「残さない」かを決めます。スタッフによって次々と並べられていく作品を真剣に見つめるサイトヲさん。時折、「難しいな」という声も聞こえてきました。たくさんの作品を前に審査の基準を決めかねていたようです。特に、自身の作風に近い応募作については慎重に見ていました。1次審査を終えて残ったのは、約190名。

少し時間を置き、再び審査が始まりました。2次審査では、200名の作品をもう一度見ていきます。作品裏に書かれた画材の情報や作品タイトル、応募者のプロフィールにも目をとおし、約80名に絞られました。


続いて3次審査です。100名の作品がサイトヲさんの前に並べられます。しばしば「上手いんだけどな」とこぼしながら、少し悩ましい表情で審査を進めている様子が印象的です。選考の基準を尋ねると、「本になった時にどうなるか?」を思い浮かべていたといいます。絵本や装画、挿絵などさまざまな形で用いられることを想像しながら、とても慎重に審査をしていました。3次審査を終えて残ったのは、40名。


いよいよ最終審査がスタート。ここでは40名の作品を会場いっぱいに並べ、入選・準入選を選びます。作品を並び替えたり遠目で見たり、念入りに作品を確かめながら1枚ずつ「入選」「準入選」の札が置かれました。時折2種類の札が入れ替わる場面もあり、熟考の末に審査が終了しました。


帰り際に「楽しかったです」と審査を振り返ってくれたサイトヲさん。作品を「残さない」と決める瞬間、苦しそうな表情を見せるのがとても印象的でした。描き手に限らず音楽家や写真家など多くの作り手と仕事を共にしてきたからこそ、作者に寄り添うように作品に向き合ってくださったように思います。

サイトヲヒデユキさんの詳しい審査評と気になる入選作品は、2026年1月17日(土)発売の『illustration』No.249に掲載されます。審査結果は以下のとおりです。

〈入選〉

●タムラヨウイチ(北海道)●大澤フロム、四宮愛、牧角春那、見崎彰広、山川朝木、山口雄司(東京都)●こだまじゅんこ(富山県)●きむらと、Pomi(奈良県)

〈準入選〉

●moa(埼玉県)●嶋田絢子、辻󠄀本大樹(東京都)●三宅崇之(愛知県)●chugoku taro(広島県)●トーマス・ビーコン(福岡県)

〈最終選考まで残った方々〉

まきあさ子(茨城県)しげるまつげ(栃木県)カスザキヤママサ、吉田莉土(埼玉県)M、いそ、加藤千歳、ゴピール、tokyo express、タカヤママキコ、宝井ちなみ、ヌイピク、hiraco、hoshi、まいまい堂、吉田圭吾(東京都)Cmura Usuke、佐久間亮、SISA、芙蓉(神奈川県)大木由(愛知県)サチ31(滋賀県)、安藤とわ、マコ(京都府)