
世界中で愛される絵本『はらぺこあおむし』の生みの親、エリック・カールの展覧会が、東京都現代美術館で開催されている。会期は2026年7月26日(日)まで。
ページごとに紙のサイズが変わり、あおむしの食べた跡が穴で表現されている絵本『はらぺこあおむし』(1969年)は、2026年に日本語版50周年を迎えた。本展は、『はらぺこあおむし』をはじめ、エリック・カールの絵本作り、そしてグラフィックデザイナーとしての姿にも焦点を当てた回顧展だ。
第1章 はらぺこあおむしの誕生
代表作である『はらぺこあこむし』はカールがグラフィックデザイナーだった頃に文章を自分で書いた最初の絵本だ。ここでは、『はらぺこあおむし』や、その周年記念に制作された作品原画、また絵本の構想段階で作られるダミーブックなどが紹介されている。



左は、絵や言葉だけではお話を理解しにくい子どものために作られた布の絵本『はらぺこあおむし』(ぐる〜ぷ あゆみ際作)1997年
『はらぺこあおむし』は、英語タイトルが「The Very」から始まる5つのシリーズの1つ。続くコーナーでは、『くもさんおへんじどうしたの』(1984年)、『だんまりこおろぎ』(1990年)、『さびしがりやのほたる』(1995年)、『パッチン!とんでコメツキくん』(1999年)の4冊を紹介している。『はらぺこあおむし』と五重奏(クインテット)になるよう制作され、すべて虫が主人公の物語だ。これらの絵本はどれもその虫ならではのしかけが施されており、カールの「体験できる絵本づくり」への想いや、虫へのただならぬ愛も感じられる。

『くもさん おへんじ どうしたの』(1986年)は、インクを盛り上がらせる技術を用いて巣の表現がされている。原画では、巣の部分は透明シートに描かれている。

第2章 思い出を絵本に
多くの絵本作品を観ながら、そのルーツを辿っていく本章。『ぼくのエプロン』(1996年)や、『いちばんのなかよしさん』(2013年)といった絵本をはじめ、多くの絵本がカールの幼少期の思い出をもとに作られている。

カールのグラフィックデザイナーとしての一面も紹介。芸術アカデミーに在学中の頃からポスターのデザインを手がけるなど、その才能を開花させていた。当時手がけたポスターや、ドイツからアメリカに戻り、グラフィックデザイナーとして活躍するようになってからの作品も見ることができる。

カールが在学中に手がけた演劇ポスター「ガラスの動物園」(1952年)<右>。

児童書や絵本のイラストレーションを担当するようになった初期のグラフィック絵本。

大人向けの小説や詩集、人文書などの表紙イラストレーションも手がけていた。
第3章 遊べる絵本、読めるおもちゃ
カールの絵本の魅力は、絵の美しさや物語だけではなく、読者が絵本の世界に入り込むための「しかけ」にある。カールは小さい読者のために、「遊べる本でもあり、読めるおもちゃでもある絵本」を目指していた。ここでは、そんな「しかけ」が施された多くの絵本が紹介されている。

『できるかな?あたまから つまさきまで』(1997年)登場する動物たちの動きを真似して、全身を動かしながら読む遊び絵本。

第4章 エリック・カールのアトリエ
最終章となる第4章では、カールと日本のつながりを紹介する。1985年の初来日以降、カールは何度も日本に訪れている。アメリカで最初の絵本美術館「エリック・カール絵本美術館」は、日本でたくさんの絵本専門の美術館を見て感銘を受けたカールが、アメリカにも絵本専門の美術館を作りたいという思いを抱き、2002年に開館した。

続くコーナーでは、カールのアトリエでの様子を伝える。絵本制作の合間に楽しんでいたという抽象的な作品や、アトリエにそのまま残されているコラージュに使用する薄紙や画材、制作時に着用していたスモックや靴が展示されており、アーティストとしてのエリック・カール像をより想像することができるだろう。

カールは、その時必要な色の素材を作るのではなく、自由に色を作り、絵本を作る時にそこから必要な紙を選びコラージュをしていた。

カールが制作時に着用していたスモックと靴。
会場内には実際に絵本を手に取って読むことができるコーナーやフォトスポットも。展覧会限定品をはじめとしたグッズも充実している。カールの想いや作品のルーツを知ることで、より深くその作品世界の魅力を知ることができる本展。いま現在カールの絵本の世界を楽しんでいる子どもやかつて楽しんでいた大人、ものづくりが好きな人など、誰もが楽しめるはずだ。

*グッズは会期途中に一時在庫切れ、売り切れの可能性があります。

*作品はすべてエリック・カール絵本美術館所蔵
エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし
会期:2026年4月25日(土)~7月26日(日)
休館日:月曜日(5月4日と7月20日をのぞく)、5月7日(木)、7月21日(火)
時間:10:00~18:00 *展示室入場は閉館の30分前まで
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
料金:一般 2,300円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,600円、中高生 1,000円、小学生以下 無料
本展は、2026年秋に福岡県立美術館、2027年春にあべのハルカス美術館に巡回予定です。
2026年10月23日(金)〜12月20日(日):福岡県立美術館
2027年3月20日(土)〜5月9日(日):あべのハルカス美術館
公式ウェブサイト:https://ericcarle2026-27.jp
主催:東京都現代美術館、エリック・カール絵本美術館、読売新聞社
Eric Carle: Art, Books, and the Caterpillar is organized by The Eric Carle Museum of Picture Book Art, Amherst, Massachusetts, United States.







