『illustration』は、1979年の創刊からイラストレーションにまつわる最先端の情報を発信し続けてきました。そしてその表紙は、いつも各時代を代表するイラストレーターの作品で彩られています。
新連載「あの時の表紙は? 『illustration』のバックナンバー紹介」では、200号を超えるバックナンバーのなかから、印象的な表紙をテーマごとにピックアップ。第1回は、大瀧詠一さんによる名盤「A LONG VACATION」のジャケットを担当したことで知られ、いまなおさまざまな世代から人気を集める、永井博さんの表紙を紹介します。
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永井さんが過去に本誌の表紙を飾ったのは、1979年9月発行の『illustration』No.4と、1985年8月発行の『illustration』No.35です。
初めて表紙を飾ったNo.4では、特集「私の画材『論』」として、永井さんのほか、門坂流さん、山口はるみさん、大橋正さん、辰巳四郎さん、湯村輝彦さん、大橋歩さん、小林泰彦さん、松下進さんに、それぞれの仕事場で愛用する画材やそのテクニック、お気に入りポイントなどを聞いています。
その当時、永井さんはまだアクリル絵具を使い始めて10年ほど。以前使用していた油絵具に比べ、リキテックスの乾きの速さに驚いたと語っています。
No.35の表紙は、いまは風景や建物を中心に描く永井さんが、人物、それも男性を描いた貴重な1枚。巻頭特集の「男がまぶしい」では、当時描かれることが少なかった「男」というモチーフについて、永井さん、ペーター佐藤さん、島本美知子さん、吉田カツさん、北村治さん、伊川英雄さん、湯村輝彦さんの当時の考えが綴られています。
またNo.13では、巻頭特集で「永井博=パラダイス」が組まれ、爽やかな笑顔の永井さんの写真とともに、初期の作品やタバコ広告のためのイラストレーションが紹介されました。掲載作品は、いま見てもなお新鮮で、その時代を問わない魅力に驚きます。
長く購読していただいている方は、本棚に眠っている号があるかもしれません。機会があれば、思い出にふけりながら読み返してみてはいかがでしょうか。
〈プロフィール〉
永井博/1947年生まれ。グラフィックデザイナーを経て、イラストレーターになる。1979年夏の絵本『A LONG VACATION』大瀧詠一文、1981年絵本『HALATION』来生えつこ文(共にCBSソニー出版)、2008年作品集『Time goes by…』(ぶんか社)を出版。なお2017年に『Time goes by…』は復刊ドットコムより復刊されている。
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