スポーツをとおしてジェンダーについて考える、絵本『みんなのいろいろ』

スポーツを共に楽しむこと、それ自体は人それぞれにさまざまな差異があっても可能だと言えるでしょう。ですが、教育機関や競技スポーツにおいては男女によって線引きされることが一般的で、LGBTQIA+当事者のアスリートがさまざまな不条理に直面したり、困難を抱えたりしていることは想像に難くありません。

そんな中で、スポーツブランド・ナイキは「身体があれば誰もがアスリートである」という信念のもと、多様な性的指向、性自認、性表現を持つLGBTQIA+の人たちのコミュニティへの支援を続けています。そして、今回その取り組みの一環として、アーティスト・清水文太さんが文章を手がけ、グラフィックデザイナー・Macciuさんが絵を描き、サッカー選手・下山田志帆さんがエグゼクティブアドバイザーとして参加した絵本『みんなのいろいろ』が完成しました。

「あるところに、色で分かれた世界がありました。」という一文から始まるこの絵本は、男女を前提とした世の中がマイノリティの人々にとってどう見えているかを想像し、知るきっかけを与えてくれます。そして、読み進めるにつれて、さまざまな心躍る美しい色たちが現れ、誰もが悲しい思いをしなくていいよう、話し合い、それを解決する方法が必ずあるはずだ、という希望も感じさせてくれるのです。

自殺を考える性的マイノリティの子どもは、そうでない子どもに比べると5倍以上だとも言われる現在。しかし、たった1人の理解ある大人が周りにいるだけで、自殺を試みるリスクを40%減らすことが出来るという研究結果もあり、「知ること」「考えること」、そして他者の言葉に「耳を傾けること」「対話すること」が何より重要だと分かります。日常生活、そしてスポーツの場において、誰もが自身が望む形で自己表現出来るよう、ぜひ身近な人と一緒に読みたい1冊です。

取材協力:平岩壮悟


絵本『みんなのいろいろ』

清水文太 文 Macciu 絵 下山田志帆 アドバイザー/(ナイキ)2023年

*ナイキのウェブサイトにて、日本語・英語の二言語にて読むことが出来る。

https://www.nike.com/jp/pride-jp

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