装幀家の水戸部功さんによる審査が、2023年8月23日に行われました。応募者は約215名、応募点数はおよそ850点です。その審査の様子と結果をレポートします。
『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル 著 鬼澤忍 訳/早川書房)や『息吹』(テッド・チャン 著 大森望 訳/早川書房)など、一目見たら誰がデザインしたか分かる印象的な装幀を数多く手がけている水戸部さん。「イラストレーションの審査は初めて」と語る水戸部さんに作品を見てもらおうと、今回もたくさんの応募がありました。
到着後すぐにスタートした1次審査では、応募作品をすべて確認し「残すもの」と「残さないもの」を選んでいきます。約1時間かけて、水戸部さんは目の前に置かれた作品に真剣に向き合いました。この段階で「残さない」と判断された候補者はほんのわずか。ほとんどの応募者が次の選考へ進みます。
休憩を挟み、続いては2次審査です。ここからは数を絞るために、1次審査よりも厳しめにジャッジしていきます。丁寧に作品と対峙する姿勢は1次審査と変わりませんが、ここでは作品裏面にあるプロフィールやタイトルなども確認しながら選考していきます。少しだけ逡巡する場面もありましたが、基本的には迷いのない判断で審査を進め、残りの候補者は60名ほどになりました。
最後に、残った作品を机の上に乗せて、見比べながら選考していきます。まずは、これまでの選考ですでに気になっていた作品を一箇所に固め、悩みながらも入選者10名が決定。続いて準入選者の決定する段階では、最後の1名を決定する場面で、これまでの選考の中で最も熟考する様子も見られました。そして最後に、「最終選考」として名前が掲載される方を慎重に時間をかけて選び抜き、水戸部さん初めてのザ・チョイス審査が終了しました。
水戸部さんの詳しい審査評と、気になる今回の入選作品は、2023年10月18日発売の『illustration』No.240をご覧ください。 審査結果は、以下のとおりです。
〈入選〉
●Kyoko Komoda(群馬県)●近藤真由美、田渕正敏、ニッタエリナ、ひさこ、宮下恵理歌(東京都)●池田晶、井澤純、鹿野里美(神奈川県)●nao(静岡県)
〈準入選〉
●abenaho(千葉県)●春日井さゆり、進天彦(東京都)●藤美沙(神奈川県)●服部かおり(滋賀県)●AKO DOI(広島県)
〈最終選考まで残った方々〉
小坂あゆ子、小林ひな、島村江理子(東京都)IQGM、河原奈苗、ヒラヤマメグミ、もころすけ、森永純子(神奈川県)冨田陽子(大阪府)きむらと(奈良県)