髪型はキャラクターの個性を作る上でとても重要な要素です。髪の長さやカットの仕方はもちろん、毛を結んだりカールをつけたりしてスタイリングすることで印象がガラリと変わります。
本記事では、7月に刊行された『キャラクターデザインのための髪作画』(玄光社)から一部を抜粋し、魅力的な髪型のイラストを描くための、ヘアメイクアーティストのアレンジテクニックとイラストレーターの作画テクニックを合わせてご紹介します。
第4回のテーマは「メイキング -ロング・ハーフアップ-」です。
(全5回・連載のまとめはこちらから)
“垂らし”が魅力のチャーミングヘア
ロングヘアのハーフアップ。オーバーの髪を両サイドに分けて編み込んでいき、後頭部でクロスしてまとめ、サイドに後れ毛を垂らす。アンダーの髪はゆるめのウェーブに。
point:前髪で差をつける
前髪を根本から分けてサイドの髪と合わせて編み込んでいく。前髪はタイトに編み込まず、少しだけ残してシースルー風にすると抜け感が出る。アンダーの髪の毛先は胸あたりの長さに。
〈メイキング〉ラフ〜線画 [CLIP STUDIO PAINT Ver.1.10.12]
1. アタリ
ヘアスタイルに合わせて構図を決める。顔まわりの編み込みがポイントなので、サイドが見えるような角度に。
2. ラフ
アタリをもとにラフを描く。センターから両サイドに向かって編み込まれている毛流れをしっかりと描く。
3. 線画①
ラフをもとにアウトラインをとる。顔まわりの編み目の大きさが左右対称になっているかを確認する。
顔に角度がついている構図のため、特に注意して編み目の大きさが不自然でないかを見る。
4. 線画完成
体よりも細いペンで、髪の毛流れを描き込む。毛流れの密度もしっかり左右対称になるように調整する。
顔まわりの後れ毛は、ただ垂らすのではなく、編み目から引き出していることを意識して描く。
5. 下塗り
線画にレイヤーを重ね、髪の範囲内を塗りつぶして下塗りをする。イメージより少し明るめの色を選ぶ。
6. ハイライトを入れる
光源を左上に設定。頭より大きなサイズのスクリーンのエアブラシを置き、広く薄いハイライトを入れる。
7. 影を置く
毛流れに沿って影を描き込む。編み目の毛が食い込んでいる内側に向かって影が濃くなるようにする。
顔まわりの編み込みと、垂らしているアンダーの髪の間には段差があるので影をつける。
8. 着色完成
毛流れに沿ってハイライトを入れ、全体にツヤ感を出す。後れ毛を足して、動きを出す。
髪が長いときはのっぺりとしないように、毛先のほうに暗い色をのせてメリハリを出す。
そのほかのロング・ハーフアップアレンジ
アシンメトリー スタイル
両サイドに大きさの違う2つのお団子をつくったハーフアップ。あ団子はラフにまとめ、結んだ毛先はあごラインに垂らし、ゆるいウェーブをかけて無造作風に。
ツインテール スタイル
ハーフアップで結んだ毛先をハイ・ツインテールにしたスタイル。毛流れは結び目までタイトにする。前髪の横の後れ毛は、あごラインまで垂らす。
サイド編み込み スタイル
バックのオーバーの髪を両サイドにまとめたハーフアップにし、顔まわりからゆるめに編み込む。全体の髪はチークラインから大きめのミックス巻きにする。
『キャラクターデザインのための髪作画』(玄光社)
プロが教える基本的な髪型の構造や髪の描き方など、ヘアメイクと作画の両方の基礎知識を身につけられます。キャラに個性を与えるヘアレシピやアレンジも豊富に収録しています。