昨年89歳で亡くなった絵本画家の田畑精一さんの画業を偲び、現在、ちひろ美術館・東京では「没後1年 田畑精一『おしいれのぼうけん』展」が開催されている。会期は6月13日(日)まで。
子どもたちに絶大な人気を集め、現在は232万部を超すミリオンセラーとなっている『おしいれのぼうけん』。同展では、その原画を展示すると共に、世代を超えて読み継がれるロングセラーの絵本づくりについて深掘りする。
『おしいれのぼうけん』は、古田足日さんと田畑精一さんの共作絵本として1974年に刊行された。同作では、子どもの心に届く絵本を目指して、作家と画家と編集者が三位一体となった絵本づくりがなされている。なかでも田畑さんは、物語の舞台となる保育園の現場をリアルに描くために取材を重ね、園児が使うような画用紙に鉛筆で80頁に及ぶ絵本の絵を描いた。
また、同展では田畑さんの自伝的絵本でもある 『さくら』(童心社)の原画展示も。『さくら』は日本・中国・韓国の平和を願う絵本作家が国を超えて交流を重ね、歴史と向き合い、平和と戦争について語り合って作られた絵本シリーズのうちの1冊。
作品をとおして、戦争体験を経てゆるぎない平和への信念を抱くようになった田畑さんの人物像を垣間見ることが出来る。
展覧会のイベントとして、『おしいれのぼうけん』 を編集した酒井京子さんによる講演会も開催予定。詳しくは公式Webサイトをチェック。
<プロフィール>
たばたせいいち/1931年大阪市生まれ。京都大学理学部中退後、本格的に人形劇にうちこむ。人形劇団プーク・劇団人形座などで活動の後、古田足日と出会い、子どもの本の仕事を始める。主な作品に『おしいれのぼうけん』、『ダンプえんちょうやっつけた』、『ゆうちゃんのゆうは?』『ひ・み・つ』(いずれも童心社)、『さっちゃんのまほうのて』、『ピカピカ』(いずれも偕成社)などロングセラー多数。「日・中・韓 平和絵本」シリーズの呼びかけ人の1人であり、自身は『さくら』を手がけた。紙芝居も数多く、『おとうさん』で高橋五山賞画家賞受賞。2020年6月7日没。享年89。
没後1年 田畑精一『おしいれのぼうけん』展
会場:ちひろ美術館・東京
会期:2021年3月16日(火)~6月13日(日)
休室日:月曜日 (祝休日は開館、翌平日休館)
住所:〒177-0042 東京都練馬区下石神井4丁目7−2
時間:10:00~16:00(入館は閉館の30分前まで)
入場料:大人1000円/高校生以下無料
団体(有料入館者10名以上)、65歳以上の方、学生証をご提示の方は800円/障害者手帳ご提示
の方、介添えの方1名までは無料/リピート割引500円/年間パスポート3000円