12月も下旬にさしかかり、ぐっと冷えこむ日も増えた今日この頃。暖かいお家の中で楽しむのにぴったりな絵本を３冊ご紹介します。
寒い冬を彩る絵本たちは、クリスマスプレゼントにもおすすめです。三者三様に描かれる「冬の１日」の中から、ぜひお気に入りを探してみてください。
『ゆきのげきじょう』
荒井良二 作（小学館）1,600円＋税
鮮やかな色彩とダイナミックな画面作りが素晴らしい荒井良二さんの新作絵本。吹き付ける雪や、男の子が見付ける小さな劇場のキラキラとした光を頬に感じる、美しい絵が印象的です。
コマ割りされた構図から大きな空間を感じさせる見開きへ、ページをめくるたびにその迫力に引きこまれ、雪の上を滑る音や劇場から溢れる音楽まで聴こえてくるかのよう。誘われるまま、雪降る日の不思議な冒険へ出かけてみてはいかがでしょうか。
〈あらすじ〉雪のふる小さな町。ある日友達と家で遊んでいた男の子は、ふとした拍子に父さんが大事にしていた本を破いてしまいます。男の子は、スキーを履いてひとりふらふらと雪の中に出ていき、途中でくぼみに落ちてしまいました。そこで男の子は、雪の中に小さな劇場を見つけたのです。雪国の生活の中で起きた、不思議ですてきな物語。
『ちいさなトガリネズミ』
みやこしあきこ 作（偕成社）1,400円＋税
３話構成で、それぞれトガリネズミの冬の１日を描いた作品。まさに“つつがない生活”を粛々と送るトガリネズミの日常の中に、小さな喜びがきらりと光ります。
最後の「うん、いいとしだった」というトガリネズミのセリフに、読む人はつい頷いてしまうはず。丸窓のようなカバーをはじめ、絵本全体に満ちるほほえましい空気感が魅力です。なんでもない毎日をいつもよりちょっと素敵なものに感じさせてくれる、年の瀬に読みたい１冊です。
〈あらすじ〉トガリネズミは働きもの。朝おきてから夜ねるまで、毎日決まった予定をこなし、つつがなく暮らしています。でも今日はひとつだけ、いつもと違うことがありました！ ひとめ見たら忘れられない、つぶらな瞳のトガリネズミ。そのささやかでありふれた日常を、独特のおかしみをもって描きます。
『ふゆのコートをつくりに』
石井睦美 文 布川愛子 絵（ブロンズ新社）1,300円＋税
『はるのワンピースをつくりに』『あきのセーターをつくりに』に続く、「おようふく絵本シリーズ」第３弾の本作。
初雪の降った朝、大好きなお母さんにもらった赤いコートを自分ぴったりに仕立て直してもらうため、お母さんと共に仕立て屋さんを訪れたうさぎのさきちゃん。彼女のワクワクした心を表すかのように次々と登場する、華やかな生地や宝石のようなボタンに心踊ります。さて、いったいどんなコートが出来上がるのでしょうか？
〈あらすじ〉想い出のつまったおかあさんのコートが、わたしのコートになったの！ 雪のふる、しずかな朝です。はやく外に出てあそびたいさきちゃんを、おかあさんは屋根裏部屋へつれていきました。大きな箱をあけると、そこにはおかあさんの赤いコート。着てみるとさきちゃんにはおおきいみたい……。「ミコさんに、したてなおしてもらいましょう」とお店にむかいます。
