【展覧会レポート】「生誕100周年記念 安野光雅展」がPLAY! MUSEUMで開幕

 

画家・絵本作家・著述家として半世紀以上にわたり活躍した安野光雅さんの生誕100周年を記念し、東京・立川のPLAY! MUSEUMで「生誕100周年記念 安野光雅展」が3月4日(水)からスタートする。会期は5月10日(日)まで。

本展は『ふしぎなえ』『旅の絵本』『天動説の絵本』(いずれも福音館書店)、『おおきな ものの すきな おうさま』(講談社)など、安野さんの代表作の絵本原画約130点を展示。緻密で美しく、ユーモアに満ちた作品をとおして、空想する喜びと発見の豊かさを体感できる内容となっている。

 

初期三部作『ふしぎなえ』『さかさま』『ふしぎな さーかす』ほか、貴重な絵本原画を多数展示!

会場入ってすぐのスペースには、安野さんの絵本デビュー作『ふしぎなえ』から『さかさま』『ふしぎな さーかす』(いずれも福音館書店)まで、初期三部作の貴重な原画が展示されている。初めての絵本『ふしぎなえ』は、お話がなく絵を見るための絵本で、「文字のない絵本」として国内外で高い評価を受けた。以来、安野さんは遊び心と発見にみちた絵本を数多く発表していく。

初期三部作の原画が展示されているスペース。絵はもちろん、作品を囲む罫線など、細部まで美しい。
『ふしぎなえ』の表紙原画。同作は、子どもの頃から空想が好きだった安野さんが、その楽しさを伝えたいと思って描かれたという。
大きなベッドで眠り、大きなお皿で食事をする『おおきな ものの すきな おうさま』の原画。ユーモア溢れる物語。
『おおきな ものの すきな おうさま』のワンシーンを再現したオブジェ。

 

『旅の絵本』の絵の魅力を体感できる立体展示

安野さんが生み出した名作の1つに『旅の絵本』シリーズがある。安野さんが旅した各国の暮らし、歴史や物語を、1人の旅人の歩みとともに味わう同作だが、本展では、とりわけ緑豊かな情景が美しい「イギリス編」の原画全点を鑑賞することができる。

さらに足を進めると、その先には『旅の絵本』シリーズの中から厳選した8つの場面が、高さ3メートル×長さ50メートルに大きく引き延ばされた空間が広がる。細密に描きこまれた『旅の絵本』の魅力を、細部まで味わい、楽しめる空間になっている。

『旅の絵本』シリーズは10冊に及ぶ大作として、世界中で愛される絵本になった。
『旅の絵本』の場面が引き延ばされた回廊。安野さんの「千の物語の入った絵本を描きたい」という言葉どおり、各シーンにその国の風景や建物、働く人々など、無数の物語が描きこまれている。
『旅の絵本』シリーズは、安野さんが初めてヨーロッパに旅した際、着陸間際の飛行機の窓から見た風景に着想を得て制作された。それを追体験するかのように、大きく引き延ばされた絵を窓越しに覗き込み、楽しむことができる。
PLAY! MUSEUMの楕円型の展示室。緑のカーテンの奥には『野の花と小人たち』(福音館書店)の原画が大きく引き延ばされ、作品に登場する小人たちの目線になって、絵を味わう楽しさがある。

 

 

安野さんの一枚絵を味わることのできる「絵画館」

安野さんが描き続けた「風景」「歴史」「自然描写」といったテーマごとに、数ある絵本や物語の挿絵から一場面を取り出して構成した特別展示「絵画館」も見どころの1つ。自身を「画家」ではなく「絵描き」だと考えていた安野さんは、多岐にわたる主題を、画風や画材を変えさまざまに描き出した。

『繪本 三國志』(朝日新聞出版)の原画。実際に中国を訪れ、「三國志」の舞台を取材して描いたという。
『繪本 歌の旅』(講談社)の原画。子どもの頃に親しんだ歌を、風景として描き出した作品。
安野さんは、絵本、画集、エッセイ集など、200冊以上にのぼる本をこの世に送り出した。
絵を描くことがとにかく大好きだったという安野さんは、多くのクリエイターに慕われ、いまなお影響を与え続けている。

緻密な絵を細部までじっくりと眺めたり、実際に絵本の世界に入りこんだような空間展示を楽しんだり。安野さんが生み出した多彩で美しく豊かな表現と、じっくりと対峙することのできる展覧会に、ぜひ足を運びたい。

 



生誕100周年記念 安野光雅展

会期:2026年3月4日(水)~5月10日(日)*会期中無休

時間:平日10:00~17:00/土日祝10:00~18:00

*最終入場は閉館30分前まで

入場料:一般 1,800 円/大学生 1,200 円/高校生 1,000 円/中・小学生 600 円

*立川市在住・在学者の方は在住・在学を確認できる免許証や学生証を提示すると、以下の割引料金で入場できます。

[立川割]一般 1,200 円 /大学生 700 円/高校生 600 円/中・小学生 400 円

*未就学児無料

会場:PLAY! MUSEUM

東京都立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2F

公式ウェブサイト:https://play2020.jp/article/anno/


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