世田谷美術館で「つぐ minä perhonen」が開催中

1995年に前身となる「minä」を創立し、今年30周年を迎えたファッション・テキスタイルブランド「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」。これからの未来に想いを託した展覧会「つぐ minä perhonen」が東京・世田谷美術館で開かれている。会期は2026年2月1日まで。

2019年に東京都現代美術館を皮切りに開催された「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」は、その後約6年かけ日本や海外を巡回。同展は6年ぶりの新たな展覧会となる。

今タイトル「つぐ」には“継承”だけではなく、プロダクトが生まれる過程で出会う工場や企業、そして手に取る人々が、つながり/広がり/発展していくさまを伝え継ぎたいという願いも込められていると、2021年に創設者・皆川明さんから経営を引き継いだデザイナーの田中景子さんは語る。

同展覧会はミナ ペルホネンが社会に対してどのような姿勢で日々ものづくりに臨んでいるのか、「つぐ」をキーワードに6つの切り口から展示が構成されている。

「つぐ minä perhonen」のロゴデザイン。
「score」の展示室には、ミナ ペルホネンの21種類の柄とそこに込められた想い、生み出されたプロダクトが並ぶ。
1995年にミナ ペルホネンがはじめて手がけた刺繍柄「hoshi*hana」。星や花のように見える刺繍がちりばめられている。左にあるいくらの箱は、当時魚市場で働きながら洋服作りをしていた皆川さんが文具入れとして使っていた。
「surplus」原画(2003)は、切り絵の形で田中さんによって考案された。自ら絵具を塗って制作した色紙がちりばめられている。
図案を刺繍として再現するために、熟練の職人が運糸データの作成作業をする。
「swing camellia」刺繍工場の指示書(神奈川レース)。デザイン通りに仕上げるための指示は50カ所以上にものぼる。
刺繍工場の刺繍機によって、人の手から生まれた図案がテキスタイルとして形になっていく様子。
刺繍機による不良部分はミシンを使って人の手で補修をしているそうだ。
時間や世代を超えて愛されるものづくりを目指すミナ ペルホネン。今回の展示にあわせ、修繕が必要な洋服を公募。新たなデザインを加え、リメイクするプロジェクトが行われた。「remix」の展示室では、装いを新たにした洋服たちが展示されている。
それぞれに、洋服の持ち主からの依頼とデザイナーのコメントが添えられ、リメイク前の写真とリメイク後の洋服が並んでいる。


「デザインするということにはものをつくるだけではなく、計画するという意味があります。それは単純にものがつくられる工程だけではなく、作る人の喜びがその労働の中にあるか、そしてそこから生まれたものが使う人の喜びや幸せにつながっているかということを最終的には目指すものです。

今回、デザインというものを見ていただきながら、背景にあるものづくりの現場や、それを受け取ってくださる人々の喜びが、このデザインから生まれるだろうか、生まれるとしたらどのくらいの時間が生まれていくか。そして、そのような活動がこれからの社会でどのように必要かということを、一緒に感じていただけるようにと願っております。」

皆川明さんがそう語る同展。ミナ ペルホネンが積み重ねてきた、ものづくりの喜びが手に取った人々へと受け継がれていく営みが今後どのようにつがれていくのか――。そのメッセージをぜひ会場で受け取ってほしい。


「つぐ minä perhonen」

会期:2025年11月22日(土)〜2026年2月1日(日) 

休館日:毎週月曜日、2025年12月29日(月)~2026年1月3日(土)
*ただし、2026年1月12日(月)は開館、翌13日(火)は休館

会場:世田谷美術館1・2階展示室

住所:〒157-0075 世田谷区砧公園1ー2

時間:10:00〜18:00 *入場は17:30まで

観覧料:一般 1,700(1,400)円 /大・高生 800(600)円/中・小生 500(300)円/65歳以上 1,400(1200)円/未就学児は無料
*()内は各種割引料金。

Webサイト:https://tsugu.exhibit.jp/


関連記事